解説
何となく書いた物なので解説などできるのかー!と不安ですが、無いと読者にさっぱり伝わらないので書きます。頑張る、ぞ…。
最初の文ですが、この時光を水みたいに書くのがマイブームだったんです。光の粒子を書きたくて前段の文章を書いたのでしょう。ええ、とても楽しかったです。(にっこり)メチャクチャ量子物理学の授業を思い出しました。(キャッキャッ)
水をイメージしているので自分の手も濡れているという表現なんですね。これは分かりやすいやつです。
近くに「輪郭が曖昧」という表現がありますが、これは暗いところで何かがぼぅっと光っているイメージで書きました。水中で光っていてもぼぅっとなるので、そのイメージでも構いません。光が輪郭の近辺で拡散していると表現したかったのです。どうして輪郭をボヤけさせたかったかのかと言うと、この世の物では無い感を出したかったからです。幽霊が半透明のイメージがあるのと同様に、妖怪などのこの世のものではない物はボャッとしたイメージがあるのでこうなりました。
この話の中の『君』は果たして何であるのかは特に決めていません。曖昧な何かは曖昧なままにしておきたいと思っています。(謎の意思表明)でも皆さんも妖怪か何かだろうな、と思ってはいらっしゃると思います。私も思っています。
第一段の最後には「自分の手が冷たかった」という表現を書きましたが、これは水のイメージからではなく本当に冷えていたという状態です。場面が夜という事もありますが、緊張すると冷や汗をかいて妙に手足が冷たくなるあの現象です。
それで何にそんなに緊張していたのかと言うと勿論「さよなら」と言う為です。どうしてこの主人公がこの君と別れる事を選んだのかは明言していません。全体的に心が離れてしまったという感じでは無いので、何か事情があるのではないかと考えられます。が、特に想定していないのでご自由に想像してください。
後半には「別れる決意をするのに時間が必要であったが、君と過ごした時間を振り返ってみればあっと言う間であった」とあるので先の「別れたくはない」という心情を補強しています。
次の無明の静寂と明るい街の対比は分かり易く君と主人公の住む世界の違いを表しています。君の住む世界の夜は真っ暗なのですが、主人公の住む世界の夜は街の明かりで明るいのです。これだけを読むと主人公の世界の方がいい物であるかのように思えますが、次の文章から考えると少なくとも主人公はそう思っていないと判断できます。被害妄想とまで書いているので分かりやすいですね。
この話の時系列をどう捉えるのかという問題が最後に浮かび上がるのですが、作者的にはどちらでも構わないと思っております。まず、この最後がずっと後の時間軸であるという可能性があります。最後の「君はもう、忘れてしまった頃でしょうか」という忘却の理由を時間の流れに求めていると考えれば、勿論こちらを考えるでしょう。
もう一つは時間の流れはほぼ存在せずに、なんらかの理由で君はすぐに自分を忘れてしまうと分かっているという状態です。これはファンタジーなので何かの呪いとか、そういう体質とか、もっと現実的なものであれば病気や障害などの可能性が考えられます。すぐに忘れてしまうと分かった上で、君の事を考えているというのはそれなりに愛が深くないと出来ないかなと思いますので、私はこちらを推しています。読者の皆さまは好きな方で想像して頂いて構いませんよ!一応、正解は用意しておりませんので。
掌編集 相沢唯愛 @235971bne
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