再会の日
ツヨシ
第1話
待っていると彼女がやって来た。
軽く小走りで。彼女は私の目の前で足を止めた。
そのまま二人見つめ合う。
やがてゆっくりと抱き合った。
優しく、それでいて強く。
私は彼女の髪を愛でた。
しばらくそうしていたが、私は少し体を離し、うっすらと紅に染まった彼女の頬を撫でた。
そして口づけ。
ずいぶんと長い間、唇を重ねていたように思う。
が、それも終わるときがきた。
私から離れた唇が言った。
「もう、行かないと」
「そうだな」
彼女はここに長くはいられない。
私はよくわからないが、そういうことになっているのだ。
彼女は名残惜しそうに私の手を握り「また一年後ね」と言った。
そして彼女は振り返り、走り出した。
私は彼女の背中を見ていたが、やがて見えなくなった、
――一年後か……。
彼女の言うとおり、私たちは一年に一度しか会うことが出来ない。
十月十四日。
それは彼女が死んだ日だ。
終
再会の日 ツヨシ @kunkunkonkon
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