とある村落で起きた大規模な火事。
その犯人の手記、というより手紙の体裁で書かれた顛末です。
村で何が起きていたのか、具体的な事が書かれるわけではありません。しかし、小さな村という狭い空間での家々の力関係や、何となく想像がついてしまう現状は、絶妙な後味の悪さを残してくれます。
言ってしまえば救いの無いバッドエンドの類なので、その時点で好き嫌いは別れる作品です。しかし当時を回想するにあたってのある種冷静な文面から、この後味の悪さもさらりと流れていくようでした。
短編としては優秀だと思うので、ちょっと普段と違う、たまにはバッドエンド系も読んでみたいという方にはおすすめできると思います。