第3話 ポーション制作
あの女神は俺に何をさせたいんだ。
俺が異世界に飛ばされた理由は【魔王を倒す】こと。
決して【魔王をポーションで助ける】ことではない。
まあ、あるゲームとかではポーションがアンデットに対して有効だったりするらしいけど、アリエルの話からすると人間らしいから絶対にありえない。
「はぁ・・・」
思わずため息をついてしまう。
こういう時ってさ、【未来が見える】とかさ、【武器を無限に創り出せる】とかそういうと攻撃系チート能力をさずけるはずでしょ?
でも、よりによって【ポーション制作】。
まだ、【どんな回復魔法でも使えるようになる】の方が良かったと思う。
でも、ここで文句を言っても仕方がない。
とりあえず、この力がどんなものか調べよう。
というわけで、再びギルドの受付嬢さんの所へ。
「あらぁ?さっき来た方じゃないですかぁ。どうしたんですかぁ?」
「いや、少し気になることがあってですね?えっと、この【ポーション制作】っていうスキルってどんな効果中なんですか?」
「ほへぇ、そんなスキルを持つ方が冒険者証を作るなんて珍しいですねぇ。どんな素材でもポーションを作れるスキルですねぇ。大抵の方は生産職に言ってしまうのですがぁ、貴方は違うのですねぇ。」
「ま、まぁね。うん。ありがとうございました。」
「はーい、またいつでもぉ」
・・・まじかよ。
【どんなものでも】ポーションに出来るのか。
薬草を使うより、ポーションを使った方が回復量が多い。
これはポーションが素材の効果を増幅させるアイテムだからだ。
そいつを作れる、しかも【どんなものでも】だ。
・・・これは使えるかもしれないぞ。
というわけで、来たのは俺が最初に来た草原。
クエストの【閃光花の採取】をやりながら、ポーションに出来そうな素材をスキルを使って探す。
一見、雑草にしか見えないヤツでも薬草だっり、特殊なやつだったりする。
しかし、俺のスキルレベルが低いせいか、あまり多く見つけることが出来ない。
すると、俺の冒険者証が淡く光った。
何事かと思い、俺の証を見ると【素材発見】がLv2になっていた。
確かに心なしかさっきよりも素材タゲが増えた気がする。
しかも、発見できるレア度も上がっていた。
日が落ちるまで採取に夢中になっていた。
この草原は採取エリアらしく、モンスターに会わずにずっと採取できていた。
ギルドに戻り、ターゲットを納品した。
今回、主に採取したのは薬草、毒消し草 、治癒草、日溜まり草、ニトロ草の根、バイカダケ、カエンダケ、あとはクエストで余った閃光花だ。
これだけのものを入れられるこの4次元ポーチはホント便利。
街で見つけた宿屋に行き、部屋を借りる。
部屋はお世辞にも綺麗とは言えないが、かなり安かったので文句は言えない。
宿には食堂があるので腹ごしらえをする。
メニューは肉ばっかだが、とてもおいしかった。
部屋に戻り、あることに気づく。
ポーション、作ってもどうやって運べばいいんだ。
机の上に広げた材料を見つめて考える。
その中に、メモが紛れていた。
そう、アリエルから貰ったメモだ。
そのメモには特典スキルの要約も書かれていた。
その中に目を引くものが1つ。
【空間魔法・・・Lv1=ミニ亜空間制作、状態をキープしたまま置いておけるアイテムボックスみたいなもの。魔力量によって作れる部屋の数が変わる。】
・・・マジすか。
これはポーションをそのまま保存することができるってことだな?
良かったー、メモに書いてあって。
てか、書いてあるんだったら受付のお姉さんにスキルを聞きに行かなくてよかったじゃん。
・・・もう過ぎたことを言っても仕方がない。
とりあえず、回復ポーションを作ってみようか。
机に亜空間を制作して、回復ポーションの元となる(はず)の薬草を2、3枚手に取る。
・・・すごくどうでもいいが、机に亜空間を制作って結構凄いこと言ってるよな?
まあ、いいや。
ここ、異世界だもんな。うん。
そして、手に取った薬草に魔力を流し込んでみる。
イメージするは透き通った緑色の液体。
すると薬草は光に包まれ、手に取ったはずの薬草は空中で緑色の液体となっていた。
その液体を亜空間の中に操作して入れる。
無事にポーションにできたので、他の素材もポーションにする。
幸い、魔力は無限にあるので亜空間はいくつも作れる。
数分後、色とりどりのポーションが完成した。
毒消し草からは毒消しポーション、治癒草からはハイポーション、日溜まり草からは一定時間触れたものを光らすライトポーション、ニトロ草の根からは爆発ポーション、バイカダケは攻撃力アップの強化ポーション、カエンダケは火炎瓶みたいなポーション、最後に閃光花からは閃光弾もどきの閃光ポーションができた。
作ってる最中は楽しくて気づかなかったが、俺スキルにないことをやってるよな!?
ポーションを空中で操ったり、ポーションの効果を調べたりと色々とおかしい。
確認の為、俺の証を見てみる。
すると、最後に見た時にはなかった【物質鑑定Lv1】【念力操作Lv1】の文字があった。
1つ、言わせてくれ。
お前ら、誰だよ!?
いや、うん。
助かったから別に良かったけど、突然前兆もなく現れるのだけはやめて欲しい。
「それはですねぇ、私が渡し忘れたプレゼントですよぉ。」
突然、気配もなく後ろから声がした。
しかも、俺はこの声を知っている。
ギルドで出会った人。
聞き間違いだと思いたいが、全く一緒なのだ。
恐る恐る、後ろを振り向く。
するとそこには、あのギルドにいた受付のお姉さんがたっていた。
魔王退治にはポーションを 星野REN @hosinorenn
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