第2話 これでどうやって魔王退治すればいいんだ。
光の道を進むと草原が見えてきた。
草原に足を下ろし、辺りを見渡す。
前方奥の方に見える街。
後ろを見ると先程通ってきた道がなくなっていた。
「ああ、やっと異世界に来たんだな・・・」
誰もいない草原でつぶやく。
今まで、高い建物に囲まれて毎日楽しくもない忙しい日々が繰り返されていたが、これからはのんびり出来る・・・はず。
「そういや、アリエルからやるべき事が書かれたメモを貰ったっけ。確か・・・」
ゴソゴソと巾着袋をあさる。
小さな巾着袋のはずなのに、かなり手が入った。
これはもしや、4次元ポーチなのか!?
女神様万歳!ありがとう女神様!
ラノベだと結構、レアアイテムとして扱われているので結構嬉しい。
女神様に感謝してると、紙のようなものが手に当たった。
引っ張り出すと、メモがでてきた。
異世界語で書かれているが、普通に読むことが出来る。
多分、アリエルの特典だろう。
「ええっと。【まずはギルドに行って身分証兼冒険者証を作りなさい。】か。そうか、俺はまだこの世界の住民じゃないもんな。とりあえず、街に行ってギルドを探すか」
俺は前に見える街に向かって歩く。
その間、アリエルから言われたことを思い出した。
「あ、一つだけ!もし、魔王を倒せずに5回パーティ全滅したら、君は一生天国で働かされるから、気をつけてねー!」
その言葉の意味。
すなわち、ゲームオーバーになったら天国で一生奴隷になるということ。
5回って多いのか少ないのか分かんねぇな。
でも、アリエルは言った。
「パーティ全滅したら」と。
「俺単体」ではなく、「パーティ」と言った。
つまり、俺がたとえ死んでも仲間が生きていたら死んだ扱いにならないという事だ。
・・・これは早急に仲間を見つけないとだな。
そうこうしているうちに、街の入口が見えてきた。
入口に立てられた看板には「ようこそ!ワヘイ村へ!」と書かれている。
見た目中世の西洋の建物が並ぶが田舎っぽい。
うん。ここ絶対平和だな。
「見ない顔だね!旅の人かい?」
気前の良さそうなおばさんに声をかけられた。
「はい。冒険者になって強くなるため旅をしてました。ギルドってどこにありますか?」
「そうかい。ここら辺はモンスターも弱いし、素材も多いから初心者とか生産職にとって結構いい所だよ?そうそう、ギルドならあそこ。ほら、真ん中にある時計塔の中さ。」
おばさんが指を指した方を見ると、赤レンガの屋根の時計塔が見えた。
某魔女宅で出てきそうな時計塔だ。
「ありがとうございました。」
「いいっていいって。じゃあ、頑張るんだよ!」
おばさんに言われたところを目指し、歩き始める。
景色を見ながら向かうと10分もしないでギルドに着いた。
ギルドの扉を開けると、The酒場って感じだった。
その中の奥に、受付のようなところを見つけた。
「こんにちはぁ。ご要件は何でしょうかぁ?」
「あの、冒険者登録をしたいんですけど。」
「はぁーい。じゃあ、この石版に触れてくださぁい。」
ちょっとぶりっ子が入っている美人受付嬢がB5サイズほどの石版を出す。
俺がその石版に触れると、ゲージのようなものや、スキルみたいなものが浮き出てきた。
「はぁーい、ありがとうございますぅ。ところででお兄さん。自分の名前を変えることが出来ますが、変えますかぁ?」
・・・マジか。そんなことも出来るのか。
俺の元の名前は氷翠 唯鶴(ヒスイ イヅル)。
元々厨二病的な名前だけど、もっと厨二病っぽくしていいって事か!?
「はい、変えたいです。」
「了解しましたぁー。では変更名をおねがいしますぅ。」
「ジェイド・クレーン、でお願いします。」
「はぁーい、かしこまりましたぁー。」
ジェイド・クレーン。
ジェイドは英語で翡翠っていう意味で、クレーンも英語で鶴という意味だ。
どっちも元々の名前からとった名前で、よくゲームのアバターの名前で使っていた。
しばらくして、受付嬢のお姉さんが俺に手のひらサイズの緑色の宝石を渡してきた。
「こちら冒険者証になりますぅ。握って魔力を流していただくと自分のステータス等が見れる仕様となっておりますぅ。」
「でも、これすぐ無くしてしまいそうなんですけど・・・」
「はぁい。なので大抵の方はペンダントにして持ち歩いてますよぉ」
「へぇー。」
「クエストを受注、発注する際は隣の受付窓口からお願いしますぅ。では、行ってらっしゃいですぅ。」
窓口から離れ、早速石を握った。
【名前】ジェイド・クレーン
【性別】男
【種族】人間
【特異体質】魔力無限、常時倍化、経験値増加
【特殊スキル】ポーション制作、空間魔法Lv1、鉱石魔法LvMAX、武器操作Lv1、素材鑑定Lv1
・・・ちょっと待て、1回メモを見ようじゃないか。
【私が用意した特殊スキルは鉱石、空間魔法、どんな武器でも使えるようになるスキルと素材発見スキル。あともう1つはこれさえあれば絶対に魔王を倒せるようになるスキルだから重要だよー。】
・・・おい、その重要スキルってまさか【ポーション制作】の事か?
ご存知、ポーションはよく回復アイテムとして使われる。
決して攻撃のマジックアイテムとして使われない。
俺は無言で外に出て、裏路地に出る。
周りに誰もいないことを確認した俺は叫んだ。
「あんんんの、駄女神め!!!!!!!これでどうやって魔王を倒せばいいんだよっっっ!!!!!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます