第48話 神々の会話やめようね
息も荒く、お互いに変身が解けたまま抱き合っている。
「助かったよ。妖気の回復に困ってた。単騎じゃ狩りは無理だからウリアのおっぱいが頼りだったし」
「詳しく」
「
「いやその、吸うのかなって」
「頼んでみるといい。言葉通じないけどな」
ネム曹長は寄り添っていた木をペチペチと叩く。できるかもと思ってはいたが、【
☆
「やっと会えた。パパ」
「パパはやめなさい。てかここどこ?」
紅葉のような自然で美しい赤髪。新緑の紗と、神秘的な雰囲気を纏うウリア。俺達も同じ紗を纏っているが、口調が同じでなければ跪いてしまいそうだ。敢えてパパと呼んでくれたのだろうか。
「お~、実体化してる! でもこれだと枝に生ってるおっぱいじゃなくて直接おっぱい?」
さすがネム曹長。緊張しないタイプ。この雰囲気の彼女から直吸いしようって剛胆。
「枝におっぱい生るんですか? てかここどこ? 妖術?」
ここも森の中である。通算では森の中から森の中から森の中。
天までずっと緑で覆われているが、暗さはなく穏やかな輝きを感じる。視覚で物を見ているのではない。通常の空間ではないということだろう。
「妖術というより、獣の術のほうが近いでしょう。私はもう、人から半分離れてしまったので」
「ウリア、なの?」
「はい。そして、『
また依代かい。
〔
「ちょ、居るじゃん、じゃないや、おわしまっしゃられ、てか勝手に俺で喋んないで!」
「御大将、ご無事で!」
ネム曹長は喜ぶが、ウリアは疎ましげに俺を睨む。マリンブルーの瞳は変わっていない。
「お前だったのか。世界を歪めた元凶よ」
〔獣の危機に傍観しておいて、利用できる駒を見付けたから介入か?〕
「はい神々の会話やめようねー、いま喋ってるのウリアじゃないねー、俺が喋ってるのも俺じゃないねー、どうしようかねー」
〔……
「いいだろう。その時までは、ここを拠所とせよ」
〔――『
☆
「なんと、素晴らしい! 生きててよかった!」
ネム曹長は泣いている。ウリアのときはそれどころじゃなかったけど、情報を読み出すのに掛かる時間がゼロになるというのは感動する。
「というわけでほどほどにネム曹長」
熊を接合したとなればやはり体に不調があったようで、俺からも提案する。
右膝の上辺りに融合した火熊の心臓の名残がある。膝が弱いのはこのせいだろうか。
それだけではない。もふもふ両足のふくらはぎには火熊の子宮を融合している。生体の
気を取り直して、曹長の組んだ『へそデバイス』が負荷になってしまっている。そこで、バランスの悪い火熊の心臓を再構築して生体デバイスに仕上げ置き換える。神々の激論は続いているようだが、こっちはこっちでその情報も取り入れ調整を進める。
「依代って何なの、ウリア?」
「広義では、依代でない生物は居ないことになります。『
「依代を護ろうと?」
「はい。そして、私の能力を元に軍曹は妖術を組みましたね?」
「【
「その中に仕組んだ
「ハッキングかい……自分の力でウリアを助けたわけじゃないんだな」
「それは違います。木では人の部分はわかりません。餅は餅屋ですよ」
「もちもちおっぱい?」
「吸います?――お客さんの対応が済んだら」
「うわー。リン少尉と……ダイ大佐か。タッグマッチといこうじゃないの」
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