あとがき


はい、とまあこんな感じですね。


キタキツネが死んで、もう一度戻ってきた。

だけれどもそれは前の「キタキツネ」ではないんですよ、人格は別なんですよ。

けれどもギンアカカンタの3人は正直それを良く理解できていなかったんですよね。

もう戻れないんですよ。


一度壊れてしまったモノを完全に元に戻すなんてことは出来ないんですね、どんなに辛くても先に進まなければいけない時が来るんです。


ギンギツネはキタキツネが大好きだった。

でも、あくまでそれは「前のキタキツネ」への感情であって、もう一度戻ってきたキタキツネへの感情ではない事を彼女は疑います。

しかも現実に耐えかねて他のもののせいにしてしまう。

でもそれは全くの不本意であって、知らず知らずのうちにしてしまっている事なんです。

心の弱さですよね。


カンタはずーっと過去に囚われっぱなしでした。

クライマックスではやっと一歩踏み出すことが出来たのですが、それでもやっぱりあのキタキツネを思い出してしまう。

それもアリだと思うんですけどね、だって仕方ないじゃないですか、彼にとっては家族同然だったのだから弔うのだと思えば。


アカギツネは錯覚している。

いや、正しく言えば元に戻ったように信じているんですかね、全て元どおりになったと信じたくて信じたくて仕方がないんです。

自分の世界を失いたくないからこそ、ただお茶を入れ続けているんですね。


キタキツネは最後、前世?の記憶を取り戻してしまいます。

それは良い事なのか、悪い事なのかまだ分かりません。

ただ、変わって変わって変わって尚あり続ける。

自らの体、生い立ち、記憶に縛りつけられている状態に彼女は耐えかねたんです。

それこそ、彼女には意味のないキタキツネの生でしたからね。


キタキツネの続きとして生まれた事を知って、生きる意味を見失ってしまった彼女は、自らの生を断つことを決意します。


しかしさっすが主人公ですね。

ピンチにヒーローは駆けつけてくれるもんですよ。

カンタは彼女に生きる意味を与える代わりに、また過去に縛られ続ける自分を支えてもらうことを提案します。


元に戻ったわけじゃないんです、わけじゃないんですけど、そこにもまた歩き出すことのできる道はあるはずなんですね。

きっと前に進めると思います。

また彼女たちが、同じコタツを囲んでホットケーキを食べれることを願って。


           完

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