第6話

 デートしよう、ねぇ。雪音ゆきねのことだから、多分久しぶりに帰ってきたからこの辺を散策したいって事なんだろうけど。

 さて、僕も前に雪音と会ったのは随分と昔だからなぁ、一体どんな感じに成長しているのやら。



━━━━━━━━雪音

 結斗ゆいとかぁ、会うのは何年ぶりになるだろうなぁ。

 と、何となくデート(もとい市内散策)に誘ってみたけど、結斗はどう受け取ったかな。多分結斗なら私が言った"デート"が世間一般的に使われるデートのお誘いではないことは分かってるだろうなぁ。もう少し何かひねればよかった。私としたことがあの程度で昔ずっと一緒に遊んでいた結斗を困惑させることなんてできないだろうことは分かってたのになぁ。おっしいなぁ。

 あ、そうだ!折角だし天音あまねも誘ってみようか。


「おーい、天音?」

 あれ?どこにいるんだろ。もう夜だし今から外にでかけたわけないし。


 お風呂に入っていたのか。......よし



━━━━━━━━天音

 結斗お兄ちゃん、優しい声だったな。私にもあんなお兄ちゃんが居たらよかったなぁ。

『結斗の事、好きなの?』

 確かこんな事を昔お姉ちゃんに聞かれたなぁ。あの時は好きかどうかはよく分からなかったけど、今ならはっきりと言えるよ。結斗お兄ちゃんが好き。

 も、勿論お兄ちゃんとしてだけどね。まぁ、実兄どころか今は家族ですらないんだけど。

「ふーひーーー」

 ん?

「とりゃっ」

「きゃぁぁっ」

 抱きつかれ!?ってお姉ちゃんか。

「お背中どころか全部洗に来ました!」

「い、いいよぉ」

 というか全部!?

「まぁまぁ遠慮なさらずに~」

「いや、もう体洗い終わってるから」

「ちぇ、なーんだ。あ、ならさ、私のこと洗ってよ」

「えっ......背中だけでいいなら」

 普通の姉妹はこんなことするのだろうか。普通の姉妹を知らないからなんとも言えない。


「そういや、なんで今日は急に入ってきたの?」

「かわいいかわいい妹のお風呂シーンを堂々と覗きに」

「そういう事平然と言えるお姉ちゃんって色々と凄いよね、ほんと」

「もっと褒めてくれてもいいんだよ?」

 褒めたつもりじゃなかったんだけどなぁ。

「ま、本当は明日結斗とデートするけど一緒に来ない?って誘おうと思ってね」

「で、デート!?」

 お、お姉ちゃんと結斗お兄ちゃんはそういう関係なの・・・?

「おぉ、こういう反応だよこういう反応」

 あ、これは私の反応を見て楽しんでる顔だ。ということは、

「デートのふりがなはなんて書いているの?」

「久しぶりにこっちに戻ってきたし市内散策」

 確実に3文字のふりがなの量じゃないし、何よりそんな言い回しだと誤解しちゃうよ。

「私も一緒に居てもいいの?邪魔にならない?」

「問題ない!というか、私は昔この辺に住んでいたからある程度覚えているけど、天音はこの辺来たことないでしょ?だから天音も一緒に土地勘つけようよ!」

「わかった、明日デートするんだね」

「そう、デート久しぶりにこっちに戻ってきたし市内散策するよ」


 でも、デートかぁ。ふりがなは"久しぶりにこっちに戻ってきたし市内散策"らしいけど、そんな言い方されると意識しちゃうよ......

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妹のいないシスコン兄と兄のいないブラコン妹 諏訪野ヒロ @suwano-hiro

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