青色 あおいろ

雨世界

1 透き通るような青色の中に。

 青色 あおいろ


 プロローグ


 ……まるで、風に転がる小さな石のように。


 本編


 透き通るような青色の中に。 


 私は今、透き通るような青色の中にいる。

 そんな夢を私は最近よく見るようになった。

 あなたの夢。

 あなたのいない夢。

 ……海の中。

 もしくは、ここは、空の中なのかもしれない。どちらにしても、そこには透き通るような青色があった。


 私は今、その青色の中にいる。

 その青色の中で、私はずっと泣いていた。悲しいことが、たくさんあった……。


「ねえ、青色って知っている?」私は言う。

「知っている。赤と緑と黄色と、青色だろ?」あなたは言う。

「青色は悲しい色なんだよ。涙の色」私は言う。

「でも、空も海も青色だよ?」あなたは言う。


 空も海も泣いているのだろうか?

 私のように。

 あるいは、世界中の泣いている人たちと同じように。


 青色は涙の色

 青色は悲しい色。

「でもさ、青色は青春の色でもあるだろ? 春の色ってことだよ」透き通るような空と、透き通るような風の中で、あなたは言う。

 あなたは青色がよく似合う人だった。

 そんなことを私は今もよく覚えている。


 あのころ、私は十五歳の中学生で、あなたも私と同じ十五歳の中学生だった。私たちは自分たちが将来どんな大人になるのか、そんなことを語りあって、お互いの将来の夢を話し合ったりもした。(もう随分と懐かしい思い出だ。少し涙が溢れそうになった)


 私は透き通るような青色の中で今も十五歳のままだった。

 夢の中の私は、まるで冷凍保存されているみたいに、(あるいは真空パックされた人形のように)ずっと歳をとらないままだった。

 私は今、青色の中にいる。

 そんな透き通るような、永遠に十五歳のままの私で居られるような、そんな青色の中で、丸くなって眠っていた。


 私は、そんな青色の中で夢を見る。

 あなたの夢を。

 ……あなたのいない、……悲しい青色の世界の夢を。

 

 青色 あおいろ 終わり

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