さらばデンゲル人テレスと仲間たちその23

SNSはデンゲル人に対する差別用語であふれんばかりでした。

流石のバグダも最初は正直お手上げでした。

何故この手の差別がなくならないか?


バグダは二つの考えを思い描いていました。

一つは今まで虐げられてきた事柄への復讐です!

これはバグダも感情的に理解できました。


今までひだまりはガチスやデンゲルに虐げられていたわけですから、その分の仕返しをするというのは被害を受けた被害者が賠償金や罰則を求めるようなものである程度までは正当な要求だと考えることが出来ます。


ただ、もしこれだけならば、ある一定の期間、ある一定の賠償、ある一定の罰則を与えれば天秤が釣り合うが如く問題は解決するはずです。

そしてそれは、デンゲル人に虐げられたコウメイやバグダを含む6人組の程度の差こそあれ持っていた認識でした。


そして、もう一つが「大衆が持つ優越感」でした。

これが凄く厄介でした。

バグダたちがガチスやデンゲルと情報戦をしていた時、彼らは長い間戦意を喪失せずに戦うことが出来ました。


それは彼らがひだまりの民に対して優越感を持っていることが出来たからです。

その証拠に彼らの国が崩壊した時、SNSで威勢の良い発言をしていた膨大な数の人々がまるで嵐にあった船のように消えてしまいました。


それと、これには人間的に根源を為すある思考が働いていました。

包み隠さず言えば「いじめは楽しい」です。

人は多かれ少なかれ自分たちが優勢な状況を望み、敵を倒したいという心を持っています。


もちろん、教育や心の鍛錬でそうした思いを克服する者、元からそうしたいじめを嫌悪する者もいます。

しかし、ひだまりは長年ガチスやデンゲルに苦しめられるとともに、そうした状況をうらやむ者も生みだしてしまいました。


残念な事ですが、大衆心理というものは聖人君子のようなきれいなものではありません。

ガチスもデンゲルもひだまりも!

確かに人々の心にこの醜い感情は存在し、今影響を及ぼしていました。


さて、もはやテレスとの約束を守ることが困難と思われる中、コウメイとバグダたちのSNS情報戦が始まります。

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