さらばデンゲル人テレスと仲間たちその19
政治は力です。
デンゲルは今や国家が破綻し激烈な内戦中!方やひだまりの国は外国の悪影響から大いに解放されて経済的にも国民の意識の点でも上り調子にありました。
人と人の関係もこうした力関係で変わることがあります。
事実、かつて情報力でひだまりを支配せんとしたデンゲルではひだまりの民を下賤の民と侮るのが常識でした。
そして、今まさにその逆のことが起きています。
テレスと共に戦ったひだまりの民の中にも少数でしたがそうした優越思想に飲み込まれてテレスたちを見下し、袂を分かった者たちがいました。
前に書いた通りコウメイたちはそうした「敵がやれば悪で自分がやるのは正義!」という考えを憎みながらも警戒していました。
それでもこの大きな流れは変えられない。
むしろコウメイたちが初心を忘れず、今までの経緯を尊重している重みをテレスはよく理解していました。
しかし、事はテレスだけの問題ではありません。
他のデンゲル人たちもいて、彼らにもそれぞれ考えや思いがあります。
テレスもまた未来のデンゲルのリーダーとしてその思いを汲み取る必要に迫られていました。
コウメイの泣き言とも思える未来の予防線を張った発言にテレスはしばらく無言でした。
そののち言葉を見出します。
「私の力が及ぶ範囲で今まで築いたデンゲルとひだまりの関係を壊すあらゆる流れを止め、あなた方を信頼しましょう!ただ、デンゲル側も我慢の限度があります!!それはあなた方と同じようにです!!!そうなった時も今までの働きを忘れずにお互い努力しましょう!うかつな約束は後で首を絞めるかもしれませんから今はこの位で」
コウメイが引き締めによって事態の悪化を防ぐ提案をした後、テレスは柔軟に対処することで問題の悪化を防ぐ提案をしたのです。
これはテレスがコウメイに反対したのではなく、むしろ彼の心身の負担を軽くし、問題を共有するというテレスなりの心遣いでした。
コウメイは再び頭を下げました。
こうして最も心の距離のある出会いから始まったテレスとコウメイの関係は信頼と未来を共有する仲間という形で昇華していきました。
次回はテレスの旅立ちとその後の顛末です。
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