さらばデンゲル人テレスと仲間たちその18
コウメイはもともと人を見る人物です。
ただ、デンゲル人という存在が総体で見た時にあまりにもコウメイの価値観とかけ離れ、醜い存在に写り、なおかつ自分の生活圏を荒らしまくったために彼はデンゲル人に強い憎悪と不信感を持ちました。
その点ではデンゲル人テレスもそのような祖国から離れ、祖国の大改革を望む姿勢を持つ点でコウメイとは遠い考えではなかったのです。
今まで説明した信頼関係を築くことでお互いを強い同士と認め合うことが出来ました。
過去のことはもういいでしょう。
今と未来が大事であるという点でもこの二人はよくわかっていました。
それにはテレスたちなき後のひだまりにおけるデンゲル人たちの処遇も含まれていました。
テレスたちはひだまりの客将として振舞いましたが、コウメイはこれからのひだまりを率いるリーダーの一人です。
この立場の違いは大きいものでした。
「単刀直入」にコウメイはテレスに問いかけます。
「今のひだまりの世論を見ると恐らくデンゲル人は軽蔑と迫害の対象になるだろう!そして私もそれを止める術はない!!!」
「帰国する君の前で約束できるのは、可能な限りそうした差別の流れを止める事だけで君らが期待する対等の立場にするにはかなりの時間がかかる・・・」
「こんなことをしてもひだまりが第二のデンゲルになるだけだ!それは分かっている!!だが、ここでひだまりを一つにしないとこの国が持たない!しばらく不快だろうが我慢して欲しい」
そしてコウメイはかつて強く憎んだデンゲル人テレスの前で頭を深く下げた。
テレスは無言でそれに応じた。
しばしの時間の後コウメイは言葉を続ける。
「デンゲル人差別主義者とその取り巻きのうち、なんとかなりそうな連中は私とバグダたちで何とかする、それでも抑えきれないなら官僚たちと相談して差別禁止の法を検討することで動きをけん制する!これは私の全力で行うので信用して欲しい」
「そして、デンゲルにいる間、ひだまりの国内でどのような報道がされても私たちを信じて欲しい!もし深刻な事態になったら必ず連絡と相談をする!だから何があってもひだまりとデンゲルが衝突しないよう今のうちに決心してもらいたい!!!」
強さと懇願の入り混じった声でコウメイはテレスに思いを伝えました。
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