さらばデンゲル人テレスと仲間たちその5

テレスがコウメイやバグダに聞きたい事の一つに、ひだまりに避難してきた仲間のデンゲル人についての処遇がありました。

要はどうしたもんか?と・・・


コウメイ曰く「個々の事情に詮索はしないが・・・基本的には全員帰国を目標に一人でも多くの難民が帰国するようにするのが道理だし良いのではないかと思う。」

コウメイはかつてデンゲル人によって家族を壊されています。


その件については精神的に制御できているとしても、依然としてデンゲル人全体に対する視線が厳しいのは当然なのかもしれませんでした。


バグダも同意見としながらも、別の理由を上げました。

「ひだまりにいるデンゲル人が減ればそれだけひだまりの民とデンゲル人との摩擦も減るのは確率から考えても明らかでしょ」


バグダは皆までは言いませんでしたが、ひだまりの民の多くはデンゲル人がひだまりの国に居つき増えることでかつてのようにデンゲル人に都合の良い政治体制を企むのではないか?という疑念を強く抱いていました。


そしてそれが感情的な対立と争いの大きな要因であることをテレスも認識していました。

そうした視点で考えると、コウメイの提案はデンゲルに厳しいのではなく、知恵の道である!


テレスは己の認識を心の中で改めました。

コウメイが語ります。

「いずれひだまりとガチスが対等の友好国になる!今は難しいがそんな将来をめざすなら、我々もデンゲル人に将来の友人としてのもてなしをする用意はある!どこまでできるか分からないがその点は信用して欲しい!」


バグダも付け加えます。

「ひだまりもこれからは大国の意向に左右されるだけでなく、自分たちが大国として発言権を得るよう努力しないとあかんかも、でもひだまりだけでは弱いのでデンゲルと協力出来ればいいんですけどねぇ~」


今までデンゲルを警戒し、散々計略ではめ込んだ二人が「友好国デンゲル」を将来の目標にして道を示してくれた!

テレスにとっては何よりも心強く、そして心温まる言葉でした。


細かい点は後日デンゲルの仲間たちと詰めるとして、ひだまりでの準備前の話は一段落着きました。

次回はデンゲルに向かった後の話をすることにしましょう。

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