さらばデンゲル人テレスと仲間たちその4

テレスはコウメイとバグダの話を聞いていろいろ考えていました。

テレス自身、今までひだまりの国で暮らし、ひだまりの民と共にSNSや政治の分野で戦ってきました。


今まで、触れる機会がありませんでしたが、テレスたちはひだまりでも沢山のデンゲル人と会い、話し、時には意見を戦わせ、さらには深刻な敵対相手と戦いました。

彼は特に話をしませんでしたが、命を狙われたことも複数ありました。


けっして平和なひだまりで安全と安眠をむさぼっていたわけではありません。

しかし、時々命を狙われる平和はひだまりと、内戦状態でいつ殺されるか分からないガチスでは環境が異なります。


これはテレスだけではなく、デンゲル人の仲間たちについても言えることでした。

それゆえ簡単に決断はできませんでした。


かと言ってこのままずっとひだまりにいるという選択肢も彼にはありませんでした。

彼がデンゲルを出たのは、当時のデンゲルが自分を受け入れずに正道に反していたからであって、決して彼自身はデンゲルを捨てる気はありませんでした。


ひだまりの為に今まで頑張ったのも、その功績により、将来デンゲルの国威を高めることが目的であり、別にひだまりに帰化したわけでもなかったのです。


内戦という戦争のため、一時的に多くのデンゲル人がひだまりに避難しましたが、これらの人々の帰る場所を整えることもテレスの目的の一つでした。

今までは世の中の流れに乗せられて、その中で最善を尽くしてきましたが、この時期になって初めて本来のデンゲルの為に働くという機会が見えてきたのです。


それを教えてくれたのは、意外と言っては失礼ですが、情が厚いとは言えないコウメイとバグダだったのは何とも皮肉なことでした。

そんなことを考えつつ、テレスは帰国することについてさらなるアドバイスを二人の智者に求めることにしました。

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