デンゲル・・・・・

デンゲルに対してひだまりの好感度は駄々下がりでした。

そしてどん底まで達した時、コウメイたちは憎むより関わらないことを重視するよう若手官僚たちと相談しました。


その結果、治安の悪化を理由にデンゲルとの国交を事実上断絶し、人の往来を最小限にするような政策があらかじめ準備されすぐに実行されました。

憎んで言葉や音で情報を伝え存在感を誇示することは結局ガチスやデンゲルに有利な状況を作り、ひだまりの国の隙となって後に災いを招く!


先の見えるコウメイとバグダは事前にその可能性を察知していました。

そして、デンゲルのことはデンゲルに決めさせる!そこにガチスやソーラーなどの大国が干渉してもひだまりはそれを静観するのみ!


これがひだまりの国益であるとコウメイもバグダも確信していました。

デンゲル第一主義を掲げひだまりや他の国を見下し、利用し、だまし続けたこの哀れな国は今破滅の時を経験していました。


ひだまりや他の国には無視され、大国には蹂躙され、仲間同士でさえまとまることなく敵対し、略奪、暴行、殺人、破壊、あらゆる悪事が国内で展開されていました。

そして、数百万の死者とそれ以上の負傷者、さらに無政府状態の地域と大国の傀儡勢力である軍閥が残りました。


もうこの時に至ってデンゲル第一主義を心から信じる者はほとんどいませんでした。

何故なら、それを唱えていた政治家や著名人の殆どが死んだか行方不明だったからです。


そして、自分の国すら失った彼らが、ひだまりや他の国を見下すエネルギーも思考ももはや残っていませんでした。

あるのは無秩序と無気力のみというありさまでした。


ガチスとソーラーの戦争という視点で見るとソーラーの勝利である!

それは間違いないのですが、勝ったソーラー連邦とその同盟国もまた戦争で多くの人命と資材を失い、戦勝による利益を考えても到底採算の合う話ではありませんでした。


戦争で勝ち、儲かるという時代ではすでになく、デンゲルの内戦に深く関わった全ての国が事実上「敗者」となりました。

こうしてコウメイやバグダの不介入政策の正しさが証明されることになります。


さて、こうした中、テレスたちとの別れの日が近づいてきました。

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