メディア改革その17
メディア界は大混乱の中にありました。
バグダは「彼らはかつて要塞の中にいる!」と表現しましたが、その言葉通り、いったん内部が荒らされると極めて脆い側面を見せていました。
ガチス、デンゲル派によるテロ活動はメディアという限定された狭い空間で続発し、老若男女問わず犠牲になりました。
もちろん、事件を起こした犯人の多くは捕まるか、ガチスやデンゲル本国に裏の手段を使って逃げていきましたがいつ終わるとも知れない恐怖がメディア界全体を覆っていました。
かと言って今更ガチスやデンゲルに鞍替えできる環境にもありませんでした。
既に大国ソーラー連邦の政治的圧力によりスパイ防止法が通るのも時間の問題でした。
今までであればガチスとデンゲルとメディアが音頭をとってあらゆる業種や団体を巻き込み反対していましたが、ガチスやデンゲルは弱体化しもはやメディア界自体が無秩序な状態でした。
外国の圧力の為、弱い者いじめの的となっていたひだまりには逆らえても、怒らせると何をするか分からないソーラー連邦に逆らうという思考は今のメディア関係者にはありませんでした。
こうなっては、報道の自由、独立などという何の役にも立たない理念は捨てよう!ようやく彼らも腹を決めたようです。
こうして、ひだまり派のメディア関係者は今までの主張を180度変換して、ひだまりの国と行政に保護と援助を乞う事にしました。
具体的には政治家や官僚に対する陳情、テレビや社説によるメディアの危機と行政の保護を求めるメッセージの恒久的な発信、ワイドショーによるお涙頂戴の物語を集中的に放送し、世論の同情を集めて行政の保護を行政の責任において果たすように要求する主張など、なりふり構わぬものでした。
こうして、時が過ぎ今度は若手官僚たちの方がコウメイとバグダの提案について説明を求める機会を望むことになりました。
ヒキコモリーヌからその話を聞いたコウメイとバグダはいたずら坊主のような怪しい笑顔でその知らせを聞き、その後プレゼンの準備を始めたのでした。
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