メディア改革その16

仲間たちの賛同を得て、コウメイとバグダは腹案をもって若手官僚会議に向かいました。

もちろん仲間たちも一緒です。


若手官僚たちは最初、彼らのアイデアを聞いて唖然としていました。

メディアが行政の干渉を極端に嫌うことは彼らの中では常識だったからです。


コウメイやバグダの提案する「メディアの保護、監視、スパイ防止法」はどれも今まで官僚たちも実行しようと思う事数十度、その度に政治家やらメディアやら謎の世論やらに猛反対されて、破談になった経験があります。


彼らからすれば、「何言ってんのこいつ!?」という意見が大半でした。

しかし、コウメイやバグダは仲間たちにしたように丁寧に今の状況とかつての状況との違い、メディアの変化とグダグダな仲間割れの現状、そして世論の大変化についても説明しました。


この説明で仲間たちは納得したのですが、若手官僚たちのほとんどは納得しませんでした。

残念なことにコウメイやバグダの計略を彼らはキチンと見ていませんでした。


ゆえに、メディア界の混乱も分裂も彼らにはにわかに信じがたいことだったのです。

確かに、今の時点でのメディアの変化は事実としてありましたが、かつてのメディアの不干渉のエネルギーの凄さをコウメイたちは知らないので若手官僚たちを攻めるのも酷かもしれません。


結局、この話し合いではコウメイとバグダの現状説明と提案をしたということでお開きになりました。


正直、バグダは不満だったようですが、会議中コウメイが「この時間を使って十分種は蒔いた!芽が出るのも花が咲くのもそう時間はかからないんじゃないかな!」とバグダにささやいたことでバグダも納得したようです。


押してダメなら引いてみな!若手の官僚たちをここで無理に説得するよりは別の力がどこからか働いて個々の若手官僚の認識を変える方が近道だろう!

つまりコウメイはバグダにそうした見通しがあることを知らせ、瞬時にバグダはそれを理解したのです。


若手官僚がその内容を理解するのは後日のことですが、それは次回のお話で。

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