メディア改革その7

「自由主義国を守るための情報関係者管理法」通称「反ガチスメディア法」というものが行政から発表されるという情報がコウメイたちに伝わりました。


これに関わったのは外務、防衛、そして総務といった各省庁のエリート官僚たちだったという追加情報ももたらされました。


どうも、超大国ソーラー連邦が以前より法制化していたスパイ処罰法をベースにひだまりの国になかば要求のような形で送られてきた法案を官僚たちがカスタマイズした内容という噂でした。


平和でのほほんとしたひだまりにはあまりなじみのない法律でしたが、国際社会においては常識的に標準装備されている法律でした。

ソーラー連邦はもちろん、ガチスもデンゲルもひだまりのこの法律よりはるかに厳しいスパイ処罰法は長年機能していました。


もし、この法律をひだまりの世論や一部の官僚の発案によってもたらされたとしたら恐らく法律が成立することはなかったでしょう。

何故なら、メディアを先頭に政治、法曹など反対派がゾロゾロ現れて必死で抵抗したと思われるからです。


情けない話ですが、ひだまりの国の単独の力では、この国際社会で常識とされるスパイ処罰法案は決して成立しなかったということです。

そして、この話のエグイ所は超大国ソーラー連邦の圧力ということで、先ほど述べた反対派の連中の威勢が途端になくなるという現象が起きました。


端的に言えば、仲間のひだまりの民には強気を通せても、強い外国に逆らう気概は彼らにはなかったのです。

なにしろ、命や人生がかかってきます。


ひだまりの民相手になめきっていたメディアや他の分野のガチス、デンゲル派はあくまで弱い相手にしかケンカを売ることが出来なかったのです。

それと、「自由主義国」とか「情報関係者管理」という言葉も巧みな表現で一見すると圧政的ではなく、リベラルな感じでイメージとして反対しにくい表現でした。


もちろん法律の内容はガチス、デンゲルのスパイ行為に対する厳罰が含まれるので猛反対する人間も中には出るでしょうが、そうなった場合には「自分はスパイです!」と自供するようなものなのでいいずらいことこの上ありません。


この段階では噂の話でしたが、この後さらなる進展が起きようとしていました。


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