憎しみと恨みの連鎖
国家規模、民族規模でひだまりの民を憎悪していたデンゲル、そして同じくその大衆感情を利用してひだまりの国の民を痛めつけていたガチス、彼ら自身の失態により、その影響がなくなり、ひだまりの民は多くの言論の自由と政治、経済的な発言権を取り戻すことに成功しつつありました。
これ自体はひだまりの民ほとんどすべての人々の希望であり、良いことでした。
その点はコウメイやヒキコモリーヌなども異論はありません。
大手を振って喜ぶ事案でした。
しかし、あまりにもガチスやデンゲルの民族的憎悪が目立っていたために今まで気が付きませんでしたが、ひだまりの民もまた彼らと同じように他の民族を見下す傾向が見えてくるようになりました。
若手官僚たちはもともと志のある者が多く、まだましな方でした。
それでも前回のお話のようにテレスをはじめとするデンゲル人たちに対しての差別意識が芽生えていました。
さて、これが地方になるとますます激しい地域が幾つか見られるようになりました。
やられたらやり返せ!
これはある意味人類の歴史の縮図です。
ガチスやデンゲルが以前にひだまりに対して理不尽な事を沢山行ってきただけに、同じことをして仕返しをしてやろうという考えを持つ者は少なくありませんでした。
そして、その少なくない思想を持った中から具体的な行動に出る者も表れました。
かつてコウメイのようにガチス人やデンゲル人に理不尽な暴力や詐術の被害にあった人々、それにかこつけて一緒になって盛り上がる者、あくまで見世物、娯楽として愉悦に浸る者、いろいろな人々がいました。
確かにガチスやデンゲルのひだまりに対する仕打ちはひどい物でしたが、かといってひだまりの民が全員善良かといったらそんなこともなかったわけです。
そして、そうした行動には利もあれば情もあります。
止めろというのは簡単でしたが、実際にこの大きな動きを綺麗に止めるとなると事実上不可能な事でした。
会議の中でそうした報告を多く聞いた後、コウメイたちは途方に暮れるのでした。
しかし、このままではいけません!
この動きを何とかするべくコウメイたちはアイデアを出しますが、それは次回に紹介します。
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