疑念と信頼
コウメイとヒキコモリーヌは場所を変えて相談することにしました。
ひだまりに敵対する人々を一人でも多く救い、敵を少なくするという点ではコウメイたちひだまりの人間とデンゲル人テレスは同じ思いを持っています。
しかし、今の時点で敵対的なデンゲル派から、友好的とはいえ同じデンゲル派のテレスに味方するひだまりの民を積極的に増やすというのは果たして将来のためにいいのだろうか?
その疑問をかつてデンゲル人に家庭を壊されたコウメイは持っていました。
ヒキコモリーヌも将来のひだまりの民のことを考えると、後日デンゲルが復活した時に再びひだまりの国をかき乱す橋頭保になりはしないかと考えていました。
コウメイもヒキコモリーヌも一連の出来事について経験を積んでます。
若い学生だった6人組には繊細な話に思え、あえてこうして二人で密談のようなことをしていました。
とはいえ、テレスという人間自体は信用に十分足る人物であり、いままでもデンゲル人としてひだまりの民に対してかなりの援助と譲歩をしてきました。
彼の動機の第一理由が当然デンゲルの為だとしてもその協力と実績は援助というよりももはや共同戦線と言っても良い内容でした。
そのことを考えるとデンゲル強硬派であったコウメイもテレスたちに花を持たせてやりたいという思いを強く持っていました。
その点はヒキコモリーヌのほうがより強いかもしれません。
彼女はデンゲルのひだまりに対する悪意を知りながらも個人的には攻撃を受けることは少なかったので、ビジネス的な視野でギブアンドテークという視点で考えるとテレスたちに将来の権益のようなものを認めるのはありだと考えていました。
しかし、これは今は信頼できるテレスたちに関してのみ有効な話で、もしテレスが途中でひだまり派の味方を止め、デンゲル側についてひだまりに敵対したらどうなるか?
そう考えると恐ろしい未来図が見えてきます。
コウメイとヒキコモリーヌの迷いは続きます。
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