ちょうかつになるな!その12

政治的な対立、対決がある時、敵味方という区分けをして互いに批判し憎しみ合うのはごく普通のことです。


事実、地方選の時にもお互いがネガティブキャンペーンをして相手の欠点や弱点をあらゆる表現を駆使して有権者に広めるのは当然のことでした。

この点ではひだまり派であれ、ガチスやデンゲル派の議員や支持者であれ同じでした。


もちろんコウメイやヒキコモリーヌやテレスや若い6人組もそのことを全否定するつもりはありませんでした。

選挙や多数派工作といった民主主義においてなくてはならないこれらの事柄はきれいごとだけでは済まないものでした。


そうした前提の上で、コウメイはあえて仲間に訴えます。

「ひだまりの中に趙括も彼を推したような連中も出してはいけない!」

前の話で丁寧に説明した内容と同じことをコウメイは仲間たちに説明したのでした。


もちろん、先に話した昔ばなしと今のひだまりの状況は大きく異なります。

しかし、コウメイはどうしても言っておきたいことがさらにありました。


「今までのようなプロパガンダ合戦を急にやめろというのは無理があるし私もそれを要求するつもりはない、しかしそれだけではデンゲルやガチスに岩盤の如く固い支持を表明している連中の力を削ぐことは難しいことをみんなには理解して欲しいのだ!」


コウメイにしては珍しい必死な訴えでした。

コウメイの目的は単に「敵に打ち勝つ」ことではありません。

その先、ひだまりの未来とひだまりの民たちのことを考えたよりましな未来図に到達することでした。


彼の頭には少しでも多くのひだまりの民に味方になってもらい、一人でも多くの反ひだまりの立場を取る者たちが、同じひだまりの民の憎しみで追い詰められて敵国側に付き、最終的には使い捨てにされるような事態を避けたいという強い願いがありました。


理想と現実、敵と味方、勝利と敗北、打算と信念、計算と哀れみ、その他複雑な要素が絡み合うことを一つ一つかみしめながら、それでも今までの二元論的な敵、味方という概念を超えたメッセージを持ってこれからのひだまりをまとめたい!

コウメイはこの難しい課題についてさらに仲間に語りかけます。


次回、仲間たちを巻き込みこの話題はさらにヒートアップします。

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