ちょうかつになるな!その4

さて、国内での趙括の評判はどんな感じだったのでしょうか。

想像する限り、若きエース、弁舌巧みな貴公子、老害の廉頗と違いサクッと敵国秦を打ち破る知将、名将、未来の星、そんな感じの噂を敵国秦から来た間者たちにふんだんに宣伝されたことでしょう。


では、前の章で賢臣の藺相如(りんしょうじょ)や趙括の母親の声が届かなかったのかについて考えてみましょう。

これは作者の想像もあるのですが、まずあまりにも趙括に期待する声が大きくて批判する声をかき消した可能性があります。


それと同時に、藺相如や趙括の母親や趙括の部下の声が聞こえないように秦の間者が頑張った可能性があるのではとも思います。

具体的に秦の間者は何をしたのでしょうか。


国民に吹聴することもしたでしょうが、恐らく王の周りにいる影響力の高い連中に賄賂や色仕掛けをしていたというのはあるでしょう。

さらにいえば、秦は以前から趙を弱体化させるためにそうした篭絡を計画的に行っていたとすれば、趙括がすんなり抜擢されるのも納得というものです。


つまり趙では秦と戦う激戦地において廉頗や他の将軍が一所懸命国を守る一方、安全な場所にいた王やその取り巻きたちが安寧の内に秦の接待によって間違った判断をするように仕向けられていたということかもしれません。


そして、他でもない趙括自身もその接待をされていた可能性もあるでしょう。

これも想像ですが、秦の間者の多くは自分が秦の間者だとは明らかにしなかった可能性もあります。


つまり、秦の金や物品を使って味方にするというよりも、内部を腐敗させて正常な判断が出来ないように工作したのではと思います。

これなら、趙括のような趙の国で名門の人間であっても、愛国心を保ちながら腐敗していくことが可能です。


秦は実に巧妙であると言わざるを得ません。

とにかく、前線で戦う趙の大軍の指揮権は老将廉頗から若き趙括に交代することになりました。


さて、敵の手の平の上にまんまと乗せられた趙括は軍隊の総司令となってどんな指示を下すのでしょうか。

そしてその結果がどのようなものか?

次回丁寧に説明したいと思います。

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