世界の混乱とひだまりの地方議会その7

国の中央と地方の話し合いというのはしばしばもめることがあります。

ひだまりの中央に位置する人々は事前によく話し合い、そうならないようにという共通認識を持っていました。


具体的には中央からの指導とか指示、命令という形を取らずに可能な限り地方の自主性を尊重するということでした。


それは、話し合いの表現の中や文書の中でも気をつけて表現するようにしており、時に若手官僚の中でエリート風を吹かせるものがあれば良識的な人々の有言、あるいは無言の圧力でたしなめることも度々ありました。


そうした中、地方の方から中央にアドバイスを問う声が上がりました。

これは状況を考えれば自然な事です。


今という瞬間に世界中が戦火の兆しに敏感な中、ひだまりの中で独立してやっていこうという例えるなら、荒波の中で小舟で沖に出るような挑戦者はそうそういるものではありません。


むしろ、より大きな船に乗り、多くの人々と共通の危機を共有しつつ、無事に済むように努力するのが自然というものです。

こういう状況ですから、コウメイたちもアドバイスや情報の共有をすることにやぶさかではありませんでした。


さて、アドバイスといっても何か新しい、あるいは斬新な策を授ける必要はありません。

むしろ、そうした策を新しい事態に取り組んでいる地方の民に授けるのは慣れていないでしょうし、混乱の元です。


というわけで、中央のメンツと若手の中央官僚が地方にお勧めしたのは下記のことでした。


1 ガチス、デンゲル派の議員や関係者の中で心が乱れ裏切りそうな者や利益によって裏返りそうなものたちを見つけ、接触し、勝てる事と今までの権益の内、バランスの取れた範囲で安全性を保障する交渉をすること。


2 裏切りそうもない者たちについてはSNSや地方紙などに情報を流し、架空の裏切り者の存在を沢山ほのめかし、敵対陣営に対して疑心暗鬼と疲労を与えるようにすること。


その上で何か動きがあった場合には細かい点も含めて中央に報告すること。

とりわけ、何か不都合が生じた場合は決して隠したり事実を改ざんすることなく冷静な事実に基づく報告をすること。


とりあえず相談のあった全ての自治体に関しては上記の点を伝えることにしました。

その上で、ひだまり側が力を持つ自治体には別の提案がなされることになりましたが、その点は次のお話で紹介します。


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