ひだまり奪還の狼煙その7

若手官僚たちの悩みに手を差し伸べたのは障碍者や生活保護などの団体の人々でした。

以前カリン事件からの流れを御覧になった方はご存じのことと思いますが、彼らは政治に参加する点で積極的でした。


もともとはひだまりの敵である外国勢力と親和性の高い団体でしたが、一連の出来事とそれに対する外国勢力の不手際により、今は政治に詳しい集票組織としての存在を残したまま、ひだまりの勢力に合流していました。


彼らの強みに、集票能力と票読みの正確さというのがありました。

彼らの団体は自分たちがどれほどの票を持っているかをよく理解していました。

と、同時にライバルとなる議員の集票数についてもかなりの精度で見当をつけることが出来ました。


そんな彼らでしたが、選挙の中盤戦ですでに自分の指示する議員の選挙戦での手応えを感じ、地固めをほぼ終了させていました。

例えるなら、夏休みの宿題を休みの半ば、お盆前に終わらせたという感じでしょうか。


そうした状態でしたので、若手官僚の困った姿を見て、助っ人を買って出たというわけです。

一つの役所につき、数人から数十人の障碍者や生活保護団体の顔役が役所に現れました。


彼らの中の一人がこう話を切り出しました。

「皆さんお困りのようですね、よかったら我々の中からアドバイザーを数人派遣して、皆さんの悩みの種である新人議員の手助けをするというのはどうでしょうか」


「出過ぎた真似かとも思いましたが、どうも今のままだと塩梅がよくないようですから、幸い選挙期間もまだ半分近く残っていますしいかがですか」


若手官僚たちは少し考えました。

なにしろ初めてのことでもあるし、公職選挙法にもいろいろ問題はないだろうか、それに新人議員側が受け入れるだろうか。


その他にもいろいろと想像しうる問題はありました。

しかし、今のままではどうも足りない気がする。

そんな、悩みを抱えながら会議は重苦しい雰囲気となりました。


さて、どのような結論になるのか。

次回に続きます。

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