ひだまり奪還の狼煙その3

もともと6人組にとってこの情報戦と国家規模の戦いのきっかけとなったのはとあるアイドルの不幸な事件からでした。

芸能界にうごめくガチスやデンゲルの国家主義の毒牙にアイドルが狙われ、その事件にたまたま巻き込まれたのがきっかけです。


その後、単なるアイドルオタクだったひだまりのノンポリ層は恐ろしい敵対国家の存在を知ることになりました。

そして、若い彼らはSNSを通してそうした国家と戦うことになりました。


経緯はともかく、若者が強大な国家に戦いを挑むという点では、典型的な学生運動と似ている面もありました。

学生たちの強みは自由な時間と、同じく自由で縛られない立場、そして自由な発想でした。


その学生たちも年月が立ち、大人になったものも多くいました。

それと忘れてはならないのは、アイドルオタクは学生だけではないということです。

一連の事件をきっかけに「大事なものを守るためには力が必要でそのためには戦わなければならない」そう考えた人々が大量に発生しました。


こうして、アイドルやSNSに関心を持つ若い層、具体的には20代から40代のオタクたちの間で政治的な熱意と具体的な行動を伴った集団が現れました。

彼らの多くは特に目立った前歴もない一般人でしたが、SNSの世界ではそうしたことはほとんどハンデになりませんでした。


彼らは熱意と発信力があれば十分集票能力のある地方議員候補やその強烈な支援者に化けることができました。


ちなみにこの運動は思わぬ副産物を生みます。

それは、地方議員の年齢の若返りという現象と、もう一つは女性の政界進出の大きなきっかけになったことです。


外見は見目麗しく、中身はヒキコモリーヌのような女傑がこの時大量に発生しました。

やはりこういう時、アイドル的な人気を持った女性に注目が集まり、意外な事にアイドル的な女性というのはとても力強い存在でした。


こうして、今までガチスとデンゲルに味方する地方議員によって牛耳られていた地方議会に大量のひだまり派の議員候補が立候補する事態になりました。


さて、こうした状態でついに地方議会での選挙シーズンが到来しました。



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