ひだまりの民の勝利報告?その8

コウメイはなぜ即断即決をしたのか?

彼の頭の中にはいくつかの計算がありました。

まず、時間がない、これが最大の要素でした。


ガチスは状況が好転した場合、ひだまりの国の内政を掌握しつつ、場合によっては軍事行動を起こすという情報が流れていました。

つまり、ダラダラと引き延ばすことが安全につながるとは限らないという判断でした。


また、ガチスのAIと情報部に偽りの情報を流し、ひだまりの国の世論がガチスに牛耳られないよう計画し成功しつつありましたが、それは逆に言えばガチスにもプラスの情報が流れ彼らを楽観視させることにもなります。


つまり、実質的にガチスの勢いを抑えていても、ガチスの方で勝手に勝利宣言されて次のステージに進んでは元も子もなかったのです。


また、別の理由もあります。

それはSNSの情報戦で優位に事を進め世論を味方につけても、それだけではひだまりの国は変わりません。


ひだまりの中にいる、政治、経済、メディア、法曹、教育の実質的な実権を握っている親ガチス派にはあまり影響がありません。

そろそろ、リアルな分野においても攻勢を仕掛ける必要があるという認識でした。


そして、これが若手官僚たちと6人組の最大の違いとなりコウメイがこの場で決断したダメ押しの理由ですが6人組はSNSにおける歴戦のつわもので勝ちなれていること、そして現場のことを良く知っているという長所を高く買っていました。


コウメイは古の兵書を読み、戦の機というものを重要と考えていました。

簡単に言えば戦のタイミングです。

戦で勝ちすぎると調子に乗るものが出てきて、必要以上に勢いに任せて突出し、敵にぼこぼこにされる、コウメイはそういう形が大嫌いでした。


しかし、6人組たちは皆戦の空気というものをSNSや日常の経験からよく学んでいました。

彼らは皆、現実の命の危険にさらされた経験を持っていたので、いつも慎重で臆病でした。


彼らが情報戦でガンガン活躍するのも、別に恐れを知らないからではありません。

例えるなら、危ない橋をどうしても渡るのであれば慎重でありつつも、速攻で渡るのが合理的である、そのことを骨身に沁みて知っていました。


次回はコウメイのさらなる思索について紹介しつつ、6人組たちの反応を紹介します。

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