変人たちの最激戦区その11
さて、現代に話を戻しましょう。
デンゲル人テレスはガチスとデンゲルを仲たがいさせることが有効であると考えていました。
それはデンゲルの宰相にとって今最も触れられたくない点だと考えられるからです。
テレスと仲間たちはある時はデンゲル人として、デンゲル人の反ガチス派をSNSなどの無記名でコメントが出来る場所を中心に話を盛り上げ、ある時は情報を提供したり、怪しげな噂を流すことで反ガチスの火を煽っていきました。
またある時は偽名のひだまりの民としてデンゲル人とケンカしながら、ガチスを賞賛するという情報操作を行いデンゲル人のひだまり嫌いを見事に利用しました。
なにしろ、デンゲル人は「デンゲル IS NO1 デンゲル IS ONLY ONE」が国を挙げての合言葉でしたから、ガチスとひだまり両方を見下すことが出来るのは彼らの脳内に気持ちのいい分泌物を送ったに違いありませんでした。
こうして、デンゲルがひだまりの民を見下しつつもガチスに対する好感度を大幅に下げたことが数字に表れた時、一つの変化が起こりました。
新聞を読むデンゲルの宰相、内心では敬愛するガチスに対する好感度があのひだまりよりも低いと知った時、彼は最初、意外性にとまどい、次に怒りに打ち震えました。
実はこの宰相、ガチスを信奉するあまり、内心では自分を熱狂的に支持するデンゲルの民を見下していたのです。
彼はメディアと情報部の責任者を呼び出し、即座に命令します。
「なぜこうなったのかすぐに究明せよ、そしてこの悪事に加担する者たちを決して許すな」
命令した者は頭に血が上っていただけで具体的な事は何も命令していません。
しかし、命令されたものの受け取り方は違います。
この悪行を行った犯人を捕まえて投獄、拷問、場合によっては暗殺、彼らは命令をそのように捉えました。
それも当然の成り行きで、彼らは今までそうして物事を処理してきたのです。
さて、読者の皆様、お気付きになられたでしょうか。
ここで登場したデンゲル人の3人、宰相とメディア、情報部の責任者は「悪」という言葉を使いました。
そうです。
彼らは自分たちが絶対正義であることを疑わず、基本的に間違いを認めない人種です。
彼らのこの傲慢不遜な態度と行動がどのような結果を生み出すのか。
続きは次回のお話で。
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