デンゲル対策その4
デンゲル対策について話し合われているにも関わらず、テレスは沈黙を守っていました。
なにしろ、ここはひだまりの民の国の会議室で、議題は「ひだまりの将来についての話」です。
ひだまりの国のことを良く理解していた彼は「郷に入っては郷に従う」、つまり会議の空気を読んでいました。
バグダの暴走とコウメイのおぜん立てのおかげで、外人が意見をしても反発が起きづらい空気になりました。
テレスは話をします。
「ガチスとデンゲルは一言では言い表すことの出来ない難しく、深い関係です」
テレスの話を抜粋すると、ひだまりの民について攻撃的な行動を共にする点では固い同盟国のようであり、政治的には親子のような関係である。
しかし、国民感情で言うなら、好意と悪意がほぼ半々でその時の情勢、時代の流れによってその天秤が傾くような不安定な関係でした。
現在のデンゲルの宰相は親ガチスというよりも隠れガチス信者のような存在で、もしチャンスがあるならデンゲルに統合されたいという願望があるともっぱらの評判があ
ります。
僅かに変なひだまり語が入りますが、テレスは話を続けます。
最近のひだまりの民のSNSなどでの奮戦により、デンゲルとガチスの共闘関係にひびが入ったのは事実のようです。
それに伴い、反宰相派のデンゲル人たちは反ガチス派と組んで宰相の追い落としとデンゲルの国際社会での地位向上を目指す動きをするようになっています。
それに対して、宰相派も国内の敵を抑えるために最近はエネルギーと使っているとのこと。
つまり、今までデンゲル・ガチス連合でひだまりを叩いていたエネルギーの内、幾分かが緩和されて同士討ちをしているという状態です。
今こそ、バグダやコウメイの提案した分断作戦をデンゲルでも行う好機ではないかと私も考えます。
この言葉を聞き、会議室は大いに盛り上がりました。
テレスとしてもデンゲルの存在をこの場でアピールすることが、今後の情勢で大いに役立つ可能性を見てのことでした。
しかし、テレスとしては難しいデンゲルの情勢を考えると、ここで発言を止めるわけにはいきません。
さらに話は続きます。
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