デンゲル対策その5
デンゲル人テレスは慎重な面持ちで話を続けます。
「ひだまりの皆さんと同じようにデンゲルでもスパイの疑いをかけてひだまりの民に関わる連中を取り除くように最善の努力をします、しかし・・・」
この時、テレスは少し苦い表情を浮かべます。
彼は言葉にはしませんでしたが、お人よしの国民性を持つひだまりの民と違い、デンゲル人は疑い深く、用心深いために簡単には計略に引っかからないのではないか、と言うのが偽らざる本心でした。
とはいえここでそれを馬鹿正直に話しても、愚かな事だと思い直し、言葉を選びます。
「もしよかったらバグダさんに協力していただき、デンゲルへの工作は共同で行わせていただきたいです」
正直難しいと思うミッションをひだまりの民を巻き込んで行うことで後日の責任問題を回避し、ついでにひだまりの国では最も曲者でデンゲル人と相性の良さそうなバグダと組むことで効率を上げるという一石二鳥の知恵でした。
6人組とコウメイとヒキコモリーヌは相談の上でテレスの提案に賛成しました。
また、会議の空気としても不安定でなにかやらかしそうなバグダに警戒感があり、正直厄介払い的な感じでバグダの助太刀に賛成しました。
テレスとしても安堵したようで、少し表情が柔らかくなりました。
そして、会議の全員に対してとバグダに向けて1回づつ礼をしました。
ちなみにこの時、バグダはニヤニヤしていましたが、その真意を理解するものは誰もおらず、今後も特に意味はないのでスルーします。
こうして、ひだまりの国にいるスパイをこちらの味方と錯覚させてガチスとデンゲルに動揺と混乱、あわよくば同士討ちをさせるべく一連の作戦が実行されることがこの時決まりました。
会議は終了し、若手官僚たちはざわざわしながら退席するなか、コウメイとヒキコモリーヌとテレスとゴカンとオーベルとバグダはとある点について疑念と課題があると内心に思い浮かべていました。
あのバグダもこの時は空気を読み、あえて若手官僚たちの前では発言しなかった疑念と課題、それは何か?
次のお話をお楽しみに。
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