デンゲル対策その2

テレスの思索は続きます。

「ガチスはあくまで損得で動く、またひだまりの上級国民の多くの内通者も恐らくほとんどは内心同じだろう、だがデンゲル派のシンパは違う、彼らの多くはひだまりの国に対する憎しみや軽蔑を行動原理にして動いているのだ」


デンゲル人は同胞だけにテレスはよくその本質を理解していました。

そして、その違いは次の結論にたっすることになります。

それは、ガチスシンパは条件次第では無力化や仲間にすることも可能だが、デンゲルシンパの多くは説得が難しいということです。


それは今日まで必死になって一人でも多くのデンゲル人とひだまりの民を和解させ味方にしようと努力したテレスたちだからこそ骨身に沁みた経験に基づく結論でした。

ひだまりに害を与えているという点でもその量ではガチスに軍配が上がりますが、その悪意という質の点ではデンゲルの方がひどいものでした。


それゆえにバグダの発言にある親デンゲル派をガチスとデンゲルの手で潰すというのはあながち間違いではないと考えたのです。


コウメイはひだまりの若手官僚の心を考えていました。

ひだまりの省庁にいる親ガチスの上司や同僚が全て間違っているとは限らない。

中にはひだまりの国を思いながらガチスとつながるという甘いとはいえ話の分かる人間もいるだろう。


だが、親デンゲル派は毛並みが違う。

彼らは骨の髄までひだまりを憎む者も多く、ほぼ確実にひだまりの国力を削ぎ、弱体化させようという目的で一致している。


ゆえに潰せるものならひだまりの国にいる親デンゲル派は潰しておいた方がいい。

さらに言えばガチスの時には反対も多かったが、親デンゲル派の人間なら若手官僚たちも概ね反対はないだろう。という計算もありました。


そこで、コウメイとテレスは多少の相談と無言の連携プレーでバグダの提案を後押しすることにしました。

バグダの提案に冷たい反応を示す若手官僚たちを説得することが出来るのか?

続きは次のお話で。




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