混乱のバグダ
さて、バグダの発案したひだまりの民の中の裏切り者候補者をダブルスパイだとガチスに言いふらす作戦、若手官僚たちの絶大な賛成の元、具体的な話し合いが行われました。
「総論賛成各論反対」 ひだまりの民特有の会議での現象です。
まず、何がもめたかと言いますと、各省庁の中で誰をダブルスパイにするかで意見が混乱しました。
初めにコウメイやテレスが警告したように、ガチスの工作員からの裏切り者情報が正しいかどうかわかりません。
そんな中、若手官僚たちは冷静な情報によって裏切り者を決めるのではなく、「自分たちの好き嫌いで」人選を進めているのが明らかに見えました。
好き嫌いということであれば、当然同じ省庁でも人物評価は人によって違います。
まして、指名された人間は社会的にも生命的にも抹殺されることを期待してのことです。
憎しみで推薦する方も、何かしらの借りがあって弁護するのも必死になります。
それにひだまりの国では「疑わしきは罰せず」という考えも深く浸透していました。
それと、以前から述べている裏切り者嫌いという別の強い考えが激突するわけです。
少し前まで、イケイケで皆同じ思いを持って話をしていた官僚たちが見事に散り散りになってしまいました。
これがあるから、基本的に策略を好むコウメイも頭にはあっても提案しなかったのです。
もちろん、テレスもコウメイと一緒で思慮深く触れないようにしていたのでした。
バグダはある種の天才でしたがこういうところがありました(笑)
この時のバグダは困り顔をしながら頭を書いていましたが、少しうれしそうな表情をしていたことを6人組もコウメイもテレスもヒキコモリーヌも見逃しませんでした。
コウメイとテレス、そしてヒキコモリーヌの比較的中立的な立ち位置の発言により、「疑わしきは罰せず」の方針で少しづつ話し合いはおさまりつつありました。
結局この話題についていえば、ごく少数のダブルスパイ候補に対しては情報をガチスに拡散。
残りの名簿の人々は今回は様子見で、今後の情報を見ながらその都度判断するという形になりました。
しかし、一部急進的な若手官僚たちは少なからず大きな不満を抱くこととなります。
そして、今回の件によって、元々変人として見られていたバグダは6人組とコウメイたちから「混乱のバグダ」として警戒されるようになりました。
まあ、元から変わり者だったので本人も周りもあきれているだけで尾を引いたわけではありませんが・・・
では会議の次の話題に移ることにします。
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