裏切者を生かす知恵?
とりあえず、ひだまりの民の中にいる裏切り者たちに対しての憤りをおさめることに成功したコウメイでしたが、この不満をなだめながら、建設的な提案をするという難易度の高い答えを用意しなければならなくなりました。
ここで、珍しく6人組の若者の中の変人、「バグダ」が発言を求めました。
バグダ曰く「せっかく裏切り者の名前が分かったのなら、彼らが実はひだまりのダブルスパイだという設定でこれから宣伝してはいかがっすか」
あ、やっちゃった~
コウメイとテレスは異口同音に内心つぶやきました。
これはめんどくさいこといいだしたな~、という感想です。
若手官僚たちは最初はポカンとしていましたが、その意味を理解すると珍しく子供のような、人によっては悪魔のような笑顔を見せていました。
バグダは空気を読ます補足します。
「ここで、ガチスの力を借りてひだまりの裏切り者を処断すれば後々楽になるんじゃないですか~」
コウメイとテレスは少し頭を抱えました。
いや、バグダの策とその狙いは分かります。
その後の効果も考えると愚策ではなく、むしろ良策かもしれません。
でも・・・
バグダはその間も細かい提案を延々と独特な言葉で紡いでいました。
若手官僚たちも楽しそうにその作戦、提案を聞いています。
紆余曲折を経て、このバグダの提案から発せられた作戦の概要は以下の通りです。
各省庁、およびメディアや経済界、さらには法曹界のなかで、今回明らかになった裏切り者候補者の内、切り捨てた方が良いと判断した者についてはダブルスパイという認識で各自情報を共有、発信し、ガチスに疑念を抱かせ彼らの手で失脚、粛清しよう、ということになりました。
狙いとしては彼らを社会的、あるいは生物学的に始末することですが、ひだまりの民から見ると味方なので保護しようという情報を流すという、「活かして殺す」作戦でした。
裏切り者に罰を与えることが出来ない点で不満を抱いていた若手官僚たちは大いに満足しました。
6人組の若者たちとヒキコモリーヌはポカーンとしていました。
ただしバグダは例外で子供のように愉快そうでした。
そしてコウメイとテレスは不満とまではいきませんが複雑な思いを抱きながらも沈黙していました。
さて、この両名がなぜ納得しなかったのか、それは次回のお話で説明したいと思います。
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