ひだまりのスパイの進捗状況その2

ひだまりの側のスパイの活動及び成果の報告は続きます。

「ガチスの一部工作員の間でひだまりの民と極秘で接触をすることを望む動きが少数ですが報告されています」


戦争になるということは国家と国家がまるで白と黒、白と赤のようにきれいに分かれる印象が強いですが、戦史を細かく見ると必ずしもそうではありません。

以前紹介した豊臣秀吉の対外戦争でも敵味方が密接に意思疎通をはかる事例はありました。


第一次世界大戦でも戦場が膠着すると、敵味方で時々プレゼントしたり、サッカーをしたりすることもあったそうです。

ひだまりの民の頑張りによってガチス圧倒的優位な戦況が膠着状態に変わったからこそ可能となった現象でした。


もちろん、彼らは自らの優位を疑ってはいないので、上から目線で無礼な態度ではありましたが、接触をしていくうちに彼らも実は余裕のない不安な状態だったことが判明します。


ガチス本国からの監視とノルマがきつくなったのが相当堪えていたようです。

ひだまりのスパイたちは最初はあたりさわりのない言葉を重ねていました。

しかし、彼らが本音と思われる感情や貴重な情報まで話すようになったのを見て、彼らの警戒心がかなり弱くなっていることを感じることになりました。


ここで、ひだまりのスパイはとある提案をしました。

それは、ひだまりにいる親ガチス派の界隈の情報を知らせ、接触した工作員に手柄を上げる機会を与える代わりに、ガチス工作員の情報などを教えてもらうという取引です。


この狙いは、情報を流す工作員のポイントを高め、さらなる情報を引き出すとともに、ガチスの情報から別のガチス工作員を潰すため必要な情報を仕入れるというものでした。


簡単に言えば、囮の領域を懇意の工作員に与えて、代わりに別の工作員を潰す情報を仕入れたということです。

この協力した工作員から見ても、ライバルが潰されるということは相対的に自分の地位を上げることになります。


ガチス国民は国家に対しては鉄の団結と忠誠を誇っていますが、仲間同士では競争意識が強烈でその中には足の引っ張り合いというのもありました。


それは上層部から末端までガチスの国民性がそうさせていたのです。

報告はまだまだ続きます。

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