文禄・慶長の役と情報で翻弄した人々

昔、豊臣秀吉が朝鮮と戦をしました。

文禄・慶長の役 (ぶんろく・けいちょうのえき) と言います。

この時、戦時中でしたが朝鮮の役人と、当時日本と朝鮮の間にあった宗氏という大名との間でいろいろなエピソードがありました。


お互い敵同士でしたが、戦になれば真っ先に前線になり、多大な損害で迷惑を被る者同士、むしろ無茶な指示をだす味方よりも同じ苦労をするということで親近感が湧いたのかもしれません。


初めのうちはそれぞれ本国の要求を普通に伝えていましたが、やがて本国がお互いにとって無茶な要求をしだすと、朝鮮の役人と宗氏の間で内密の話し合いをするようになりました。


いわばお互いの腹の内をさらしたわけで、ある意味本国よりも親しく、信頼できる間柄となりました。

もちろんこれは美しい友情などというものではなく、共犯による親密な関係という物でした。


しかし、もしお互いが馬鹿正直に話をしたら戦争が激化する、そうさせないためにお互いがまず情報を交換して、その後可能な限りもめないようにお互いの文書を改ざんしました。


そうした努力にもかかわらず、戦争は長引きました。

相変わらず現場を知らない本国の連中は強欲な要求を彼らに伝え交渉させます。

それに対して、役人と宗氏は現場の責任者を巻き込んで情報の改ざんをし、味方というか共犯を増やしていきました。


彼らの努力は結局ばれてしまいましたが、運よく当時の責任者であ豊臣秀吉が死亡しこの戦争も終わりとなりました。


もちろんこの後もいろいろあったのですが、この時外交関係や情報を共有し、信頼関係も一部で構築されていたためにこの戦争がぶり返すことはなかったのです。


この話にはいろんな教訓がありますが、大事な点として情報を共有し、利害を共有すると、敵同士であっても信頼関係を築くことが出来る事。

そして、戦が膠着状態になればこうした外交での交渉が活発になるということも大切なことかもしれません。


戦争になると喜ぶ人、被害が出ることを恐れる人、それぞれいますが最前線でこうした友情や情報交換がされることは世界史を見ても珍しいことではありません。

次のお話はまたひだまりの官僚たちが集まる会議室の内容に戻ります。




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