猟犬を生かしてうさぎも残る その9
政治分野におけるガチス統合国のひだまりの国での影響力は絶大でしたが、デンゲル国の影響力もとても大きく、デンゲル派の議員は与野党に多数存在していました。
また、芸能関係やメディアの中で見るとデンゲル派の方がガチス派よりも影響力が強かったのです。
ガチスは力と権益を背景にひだまりの上級国民を従わせていましたが、デンゲル人は色仕掛けと巧みな洗脳によって上級国民と一般の国民を惑わし、文化的侵略という点ではガチスをはるかに凌ぐ勢いでした。
しかし、大きな二つの事件がこの流れを変えました。
一つは「カリン事件」というアイドルの暴行事件、もう一つは「障碍者たちのバス転落事故」です。
この二つのトラブルは両方ともデンゲルが関わっている明確な証拠はありませんでしたが、状況証拠や巷での噂を聞くと彼らに対する疑惑は深まる一方でした。
ガチスは力技で動揺を抑えることに一応成功しましたが、デンゲルは失敗しました。
もちろん、6人組たちによる「事実を断言せずにどんどん疑惑を深める」情報の流し方が功を奏したのも見逃せません。
もともとデンゲルの文化は「嘘と詐術」でした。
彼らはひだまりの民の人のよさに付け込んできましたが、案外自分がそうした疑念の対象になることは苦手でした。
いわゆる、相手の弱点や欠点を責めるのは強いが、自分の不正や弱点を突かれると弱い、パターンです。
カリン事件で自分たちのアイドルを傷つけられて怒りが溜まっていた人は多くいました。
そして、今回のバス転落事故で彼らの情報操作に隙が出来、好感度と信用度が劇的に下がった時に一気にその不満が爆発しました。
今までは、こうした爆発が起きた時には、SNSの規約に従いひだまりの民のはねっかえりを出入り禁止にしたり、法廷闘争に引きずりこむことで鋭い先鋒を刈り取り、相手をひるませて鎮圧するのがデンゲル先鋒でした。
しかし、既に述べた通りこの時点では大きなダメージを受けて、デンゲルのひだまりに対する情報の影響力と信頼性は地に落ちていました。
なぜ、そうなったのか?
詳しい説明は次の章で明らかになります。
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