猟犬を生かしてうさぎも残る その8

ガチス統合国もひだまりのSNSの変化をただぼーっと見ていたわけではありません。

組織の引き締めのためにとりわけマスメディアのシンパに対する監視と恫喝と餌を与える機会が以前より増えていました。


それは、今までガチスが築いてきた組織の崩壊の防止には一定の効果がありました。

ひだまりの上級国民は敗戦後の長年の経験から外国人の言動にはとても弱く、脅しはよく効いていました。


しかし、副作用も大きかったのです。

それは、彼らの言動があまりにも第三者から見て白々しいのです。

庶民たちは彼らの本音と彼らの背後に誰がいるか筒抜けな状態でした。


こうなると、庶民特有のお上に対する皮肉がSNSや普段の会話で盛り上がっていきます。

いわば、憂さ晴らしの話のネタとして格好の話題を提供してしまいました。


6人組の女性陣たちの仲間たちはガチスの意向に無抵抗に不器用に従う彼らに聖母のような優しい言葉を投げかけました。

「きっと彼らは人質を取られてやむを得ずしたがっている」とか、「従わないと今までの権益がもらえなくなって生活が出来ないので泣きながら仕事してる」などです。


いままで、SNSなどで罵声に対する免疫があったメディアでしたがこのアプローチは効きました。

メディアの威厳がごっそり取り除かれ、庶民の多くは彼らのプロパガンダを哀れな目で見るばかりとなったのです。


こうして、男性陣が上級国民を罵倒するかつ丼作戦からだんだんと天ぷら作戦のようなクラスタ分離策の方が効果が上がっていくことになりました。


この現象はひだまりの国の政治家やひだまりに潜伏する工作員の間でも広がり、ガチスに直接関わる上級国民及び工作員とそれ以外の一般大衆との間に益々溝ができることになりました。


また、デンゲルシンパにも影響が現れていました。

ガチスとデンゲルはそれぞれ違う情報網を持っていたのですが、ひだまりの民の能天気さは彼らの違いを認識しませんでした。


ゆえに6人組もガチスと同じ方法でデンゲルシンパにもアプローチを仕掛け次々に彼らの衣を剥がすことに成功していきました。

その様子は次回に詳しく説明します。





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