猟犬を生かしてうさぎも残る その6

六人組がSNSで活発に行動する中、この流れから離脱して別行動に入った人物がいます。

ヒキコモリーヌ、謎の多い女性です。

一説では事業と投資で成功をおさめた才媛であるともうわさされています。


しかし、彼女の強みはそれだけではなく、恐らく学生時代から社会人までの人脈もまたその要素だと言えるでしょう。


SNSと実際の会合や付き合いを巧みに予定を組みつつ融合させて多くの人脈を築くことに成功しました。


その中には主に学生時代に築いた官僚の人脈がありました。

外交関係、経産関係、防衛関係、財務関係など多彩な交友がありました。


ここでひだまりの国の官僚制度の現状について少し説明します。

基本的には年功序列です。

そして、長年のガチスとデンゲルの工作によって年配の上層部、上流国民層は動きの鈍い慣例主義的な人たちで固められていました。


もっと言えば、ろくに働かず、たまに何かするかと思えばガチス、デンゲル、そしてソーラー連邦の意に沿い、自国であるひだまりの民を搾取、規制する法律や予算や税金体系を決めて苦しめていました。


それと年齢的な力の差もありました。

ひだまりの国は高齢者が多いため、その発言力もその人数に比例していました。

そのため、全体的な傾向として、年寄りに甘く、若者に厳しい世界となっていたのです。


皮肉なことにこの事が、若い官僚たちの災難を防ぐことになります。


主にデンゲルの工作の中に女性と一部の男性を使った美人局 (つつもたせ) によりスキャンダルにより言いなりにさせるという手段がありましたが、若い官僚たちはあまり力と権限がないということで、ごく一部のエリートを除き毒牙にかかりませんでした。


こうした状況でしたので、今まで上に頭が上がらず、不正や腐敗を苦々しく思いながらも服従せざるを得なかったのがヒキコモリーヌと交友のある若き官僚たちの実情でした。


しかし、今まで説明した通り、状況は変化し、上の連中も動揺し始めました。

彼らは猟犬の手先である上司たちに虐げられていたウサギのような存在でしたが、ついにその屈辱を晴らすときが来たと考えたようです。


その具体的な内容は次のお話で説明します。






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