猟犬を生かしてうさぎも残る その4
障碍者クラスタをメインにしたひだまりの国のSNSによる局地戦は六人組たちの勝利で収まりつつありました。
ガチスとデンゲルは手をほぼ引き、もはやひだまりの民の中で言い争うことも少なくなり、分裂の火種はなくなりました。
こうして六人組とその仲間たち、そしてヒキコモリーヌとテレスたちは目標を地方議会と地方の人々、ひだまりのオールドメディア、そして、その中に潜むガチスとデンゲルの工作員という具体的なターゲットに絞り、新たなる論戦の地、あるいは空間に向かうことになりました。
まず、ゴカン、オーベルなどの強硬派が痛ましい障碍者インフルエンサーたちの死亡事故をガチスやデンゲルの仕業であるかのように匂わせながら不安を煽ります。
それから、女性陣たちが励ましながらそうした不安を打ち消すような発言をして親ガチス、デンゲル派の人々の信頼と安心を得るようにします。
ここまでは依然の障碍者クラスタの時と同じシナリオです。
しかし、ここから違ってきます。
今度は前回と違い、女性陣の方が論破されるようにシナリオが変更になりました。
なぜなら、そうすることで親ガチス、デンゲル派の人々の不安をさらに効果的に煽ることが出来るからです。
これが可能になったのはくしくも、ガチス、デンゲル派であったインフルエンサーたちの非業な死という動かしがたい事実があったからです。
正義だ悪だ、愛国だ、といったことには無関心なことが多い政治家や経済人、メディア関係者も、さすがに自分と家族の命が危険にさらされる可能性については無関心というわけにはいきませんでした。
彼らが寝返ることはもちろんありませんでした。
何故なら、ガチスやデンゲルに対する強烈な恐れがそのような考えすら思わせなかったのです。
しかし、今まで安全な狩りをするかのようにSNSで自信と傲慢さに満ち溢れたコメントをし続けていた彼らはもはやありませんでした。
ごく一部に金と女という (一部男もアリ) 餌につられ今まで通り、あるいは今まで以上にハッスルする者もいましたが、多くの人々が少し壊れた家電のように何かしらの不具合を起こしていました。
そうした空気は徐々に、しかし確実にひだまりの国全体に広がっていきました。
この続きは次の章でさらに発展していきます。
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