狡兎死して走狗烹らる その13

圧倒的戦力差からの奇跡の展開、国境を超えた味方の増強!

後日、「漸減作戦」つまり、敵を少しづつ打ち倒し、地の利を生かして味方の懐におびき寄せて殲滅するという作戦方針を変えるほどのインパクトを与えたこの発想はこの時産声をあげようとしていました。


ですが、その話をする前にもう一度猟犬を大事にする発想について確認することにしましょう。


サンは犬が好きで狩りに詳しい女性でした。

しかも最近では主に不安に駆られた障碍者たちにたいして優しい言葉や励ましを与える太陽のような暖かい存在でした。


つまり彼女の発想は優しさとか思いやりといったある意味お花畑的な物だったのです。

でも、このお花畑は非現実的な理想論ではありませんでした。


事実、男性陣がサポート役だったとはいえ、童話の「北風と太陽」のお話のように彼女たちの優しさこそが情報戦における勝利の決定打になったのは以前お話した通り事実でした。


つまり、彼女の天然がこの斬新な道への扉を開くことになったのです。

そして、かつ丼作戦と天ぷら作戦により実績を出して自身をもった女性陣たちがその見解に賛成の意を示すのは自然な事でした。


さて、引き立て役となった男性陣についても説明しましょう。

男性陣の傾向としては、敵に対して甘ちゃんな発想というのは抵抗がありました。

相手は残酷で冷徹なガチスと卑怯なデンゲル、そしてそれらに金、暴力、○○、で従っているひだまりの○国奴 (○は差別発言や不適当な表現なので) です。


そんな連中のことを慮ることは正義に反するという思いもありましたし、なにより最初から問題にならないはずだという思い込みが強かったのです。


とはいえ、天ぷら、かつ丼の両作戦の推移を見て、サンたちの生ぬるい発想が効果を上げた事実は無視できませんでした。


この点で最初に思い込みから脱出したのはバグダです。

彼は少しずれたところがある変わり者で、定石といったたぐいはあまり好みません。

変人で天才肌の彼は気分次第で考えがコロッと変わりました。


さて、男性陣のあと二人の心境やいかに。

SNSのやり取りを多く見ている読者の方はどこかで似た雰囲気を感じたでしょうが、それは次のお話で。




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