狡兎死して走狗烹らる その12

「猟犬も殺されるのはかわいそうよね、そうならないように教えてあげたらいいのにね」

一同あっけに取られます。


正直意味が分かりません。

今までもサンは天然な所があって6人組たちが真面目に戦術的な話をしているときに変な感想をいきなり発して周りを困惑させることが度々ありました。


そんな時でもサンの人柄のせいか好意的スルーや場が和むという効果がありました。

ただ、今回の発言は何かが違っていました。


それはサンが間違っているというのではなく、今までやってきた何かが間違ってるのではないかという違和感でした。


この発言を受けていったん休憩になりました。

発言したサンがその後一番不思議がっていたのですが後の5人プラスしてヒキコモリーヌとテレスは休憩の間、それぞれ思考を巡らしていました。


ここで、ある閃きが起きます。

それは引き算ではなく足し算、マイナス思考ではなくプラス思考、敵ではなく味方、という発想でした。


つまり、「狡兎死して走狗烹らる」という言葉を脅し文句や恐怖として表現、拡散するのではなく、生き残るための賢い知恵として表現、拡散していけばおもしろいのではないか、という発想の大逆転です!!!。


休憩終了後、皆が集まり話し合いが再開されました。

この時、まず、狡兎 (こうと) は誰かという話から始まります。

それはひだまりの民と国です。


では、走狗または猟犬は誰でしょうか。

いままでは、ひだまりのガチス派とデンゲル派に属する政治家と企業家、メディアなどの上級国民という存在に限定して考えていました。


しかし、ひだまりの民と国がもし滅びた時、あるいは敵として価値がなくなった時、殺される猟犬は誰でしょうか。


そうです、デンゲルの名がまず上がります。

この時点で今まで意識していたガチス、デンゲル連合軍対ひだまりの民という構造が崩れ去りました。


そして、これだけでは終わりません。

怒涛の発想転換は次の話になだれ込みます。


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