狡兎死して走狗烹らる その10

「狡兎死して走狗烹らる」 (読み) こうとししてそうくにらる

男性陣にとってこの言葉は厨二病をくすぐる言葉であり、何か心に引っかかる感じでした。


それ以上にガチスがこの言葉を弱点として警戒している空気を感じたので今効果がいまいちでも簡単には諦められませんでした。 

もしこれがガチスの罠なら、もっと派手にガチスは行動するはずだという推論もありました。


そこで、いろいろ工夫してみました。

例えば、走狗では分かりにくいので、猟犬という表現に変えたり、以前話した「漁夫の利」という表現を使ったりしました。


頑張って西洋的表現を使ったり、新しい言葉、いわゆる造語なども作りながら拡散していきました。


それでも、ガチスは何か触れてはいけない物を扱うかのようにこの話題から遠ざけるようにしむけていますし、デンゲルも持て余している感じでした。


肝心のひだまりの民は相変わらずピンとこないようで反応は薄く、障碍者クラスタは恐怖におののきながらちぢこまっていました。


なんか妙な均衡が保たれた状態でしたが、6人組にとっては望ましくない状態でした。


なぜなら、ひだまりの世論は障碍者だけで形成されているわけではありません。

こうしている間にも、物量とAIと高い士気をもったガチス、デンゲルの連合軍が情報戦において、ひだまりの民を洗脳していたのです。


とはいえ、元から6人組は絶望的な戦いを強いられ、それを認識していました。

なので、この無敵とも思えるガチス、デンゲルの情報力にほころびが見えたという事実は大きかったのです。


6人組が珍しくこの点に関しては柔軟ではなくこだわりがあったのは、つまるところ、他に方法がなく、この点にのみ一筋の光明が見えたから、と言えます。


男性陣が諦めきれないような、それでいてもうやめようかという心がよぎりつつある時、女性陣たちはある程度の成果を収めていました。


そうして次の話し合いが行われます。


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