狡兎死して走狗烹らる その9
6人組は裁判官でも刑事でもありません。
事の真相を突き止めるのが役割ではなく、彼らの目的は自分たちの安全な生活のために今のひだまりの国をささやかな市民が安心して住めるような状態に改良することです。
その為には明らかに悪意をもって干渉しているガチス統合国とデンゲル国の勢力を排除し、それにおもねるひだまりの民の影響力を削ぐことが必要でした。
真実の細かい所は不明でもこれだけ情報が集まれば対策は立てられます。
まず、障碍をもつインフルエンサーとその取り巻きが亡くなったことは障碍者クラスタにとってはショックが大きかったと思われます。
なので、サン、ムーン、マーズ、ヒキコモリーヌなどの女性陣はSNSなどで障碍者クラスタと対話を重ねつつ、不安を鎮静化するように話し合いました。
その一方、ゴカン、オーベル、バグダ、テレスの男性陣はガチスの関与について、お互いの認識をすり合わせることに時間を使いました。
そしてある程度固まったのち、ガチスの関与について、SNSの規制に違反しない表現や過度の反発を引き起こさない方法で拡散するということで合意しました。
目的はガチスの恐ろしさや不気味さを拡散することでひだまりの民のガチスに対する好感度と信頼度を下げる目的でした。
彼らがこの問題を話し合って出た結論の一つに「ガチスはこの件を公にしたくない」 というのがありました。
彼らは工作活動がたくみで繊細ですが、その事実が彼らの弱点を披露することになったのです。
また「狡兎死して走狗烹らる」という言葉もこのころ6人組の間で浸透してきました。
この言葉は主にひだまりの民のガチス派やデンゲル派に属する上級国民向けにSNSなどで拡散しました。
目的は彼らに恐怖心を植え付け、反ひだまり活動とひだまりの元気を削ぐ活動力を少しでも削ぐためでした。
しかし、この方法はあまり効果がありませんでした。
確かに一部の上級国民に不安の種をまいた事実はありましたが、それと同時にガチスに逆らう恐ろしさを骨身にしみて感じたためにかえって活発化した連中もいました。
それでも彼らは改良をしていきます。
それは次のお話で。
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