「漸減作戦」 (ぜんげんさくさん)

かつて存在した国家のプロパガンダに詳しいSNSに詳しい女子大生ムーン (仮の名前)と戦争ゲームに詳しい男子大学生ゴカンが主に意見を出して今後のSNSに関する大まかな方針を決めることにしました。


作戦名は「漸減」 (ぜんげん)です。

このネーミングについてムーンとゴカンは正直乗り気ではありませんでした。


理由ですか?

ムーンの意見はこんな感じです。

少し前に流行ったSFオペラ小説で悪役で無能な貴族の親玉が自信満々に提案した作戦がこれだったそうです。


そしてその作戦は見事こき下ろされた挙句却下された、イメージと筋が悪い、そんな感想でした。


ゴカンはさらに深刻で、昔、とある海洋国家が大戦争をしたときの作戦が「漸減邀撃作戦」 (ぜんげんゆうげきさくせん)でその作戦で勝利を得ることが出来なかったとか。


しかも相手は物量と練度に優れたガチス統合国ということで昔の出来事を思うと到底乗り気に離れませんでした。


でも、作戦名を気取っても状況が良くなるわけでもないですし、そんなことにエネルギーを割いている余裕もありませんでした。


そして何より、6人組が相応の時間を割いて話し合った末の結論がこれだったのでどうにもならなかったというわけです。


さてより細かい話をすると、ガチスの物量に対してまともにやりあったら勝ち目はない。

そこでまず、少ない人数でSNSの空間に飛び込み、ガチスの好みそうな話題に異議を唱える内容のコメントを少し書いて退散。


これをひだまりの国のSNS参加者で個人単位の人々にランダムに書き込みガチスの労力を消耗。


その上で政治や世論の重要な話題についてSNS上でひだまりの味方の総力を集めて反論などを展開して一般のひだまりの民がガチスのプロパガンダに乗せられないように電脳空間を占拠していく。


このようなイメージでした。

現代戦に例えると、まず少数の兵によるゲリラ戦で大軍をかく乱して相手の意気をくじく。


そして相手の大軍が崩れたり、一部が混乱した時にまとまった戦力で叩く、そして味方の消耗を可能な限り減らしつつ相手の意見を論破してひだまりの民を取り込む、このような発想でした。


しかし、これだけでは到底相手の勢いを止めることは出来ません。

6人組の試行錯誤は次の章も続きます。




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