第260話 ねこネコ編(2)ねこに歴史あり
馬骨になついたえなこはとても甘えん坊で嫉妬深い性格をしています。
彼女は雌で、人を見ると独占欲がわくようです。
なので、馬骨に他の雌ねこが近づくと「ウー」とうなり相手をににらみつけます。
馬骨はねことの付き合いが長く慣れているので、そうした時どうすればいいか知っています。
それは、まず座ります。
次にえなこと他のねこが等距離になるように両方のねこの体を手でコントロールします。
そして、慣れた手つきで同じタイミングにお互いのねこの頭を撫でたり、のどを優しく触るのです。
そうするとえなこも他のねこも目を瞑ってゴロゴロとのどを鳴らします。
ちなみにこの時猫がのどを鳴らすのは気持ちよさと安心感からです。
こうして、ケンカをすることなく2匹のねこを手なずけていくのです。
さて、祭り之介になついていたクレちゃんはすぐに離れていき窓側の人の頭くらいの高さのキャットタワーにすたすたと上っていきました。
このクレちゃんの正式名称は「クレオパトラ」です。
他にも同期のねこの名前にオスだと「シーザー」、「アントニオ」などがいました。
お察しの通り古代ローマの英雄やヒロインからやしきのご主人さんが名付けた名称です。
このクレちゃんはめすで、しかも激動の人生ならぬ(ネコ生)を歩んでいました。
彼女の母は4匹のねこを生みましたが、うち3匹はすぐに死んでしまいました。
そのためか、このクレちゃんは猫一倍えさに対してシビアで敏感です。
祭り之介が部屋に入った時にすぐにすり寄ってきたのもえさを持ってくる可能性が高いと踏んでいたのです。
彼女の名前を考えるとかなりの知性派と言えるでしょう。
とにかく、えさが振舞われると必ず一番いい場所に最初に来るのがこのクレちゃんです。
そしてえさを一通り多めに食べるとキャットタワーか窓際に向かって休む態勢を取ります。
祭り之介はわずかな時間クレちゃんに癒された後、あっけにとられながら馬骨とねこたちを見ていました。
馬骨は、「まあ、そのうちねこも慣れてくるから気長にまつといい」とアドバイスしました。
祭り之介はじっとあぐらをかいてすわっていると、とらキジ模様のねこや白いねこたちが少しづつ寄ってきました。
これらのねこもすべてやしきの主は名前を付けていますが、もちろん祭り之介はそれを知りません。
彼らは祭り之介のズボンのにおいをくんくんかいでみたり、彼の手を恐る恐る近づきながらくんかくんかしてきます。
気が付くと祭り之介の周りには5匹のねこたちが接触していました。
祭り之介は驚きつつも、何か安心感みたいなものを感じていました。
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