第249話 ネットの中の蟲毒(3)

約数千人の同じ目的を持ったネット民、最初は余裕をかまし威勢のいい言葉を発していました。

しかし、弁護士たちが本気で訴訟をしたと知り彼らの背中には冷たいものを感じることになりました。


そして、実際に訴訟を受けて、会社の職場で、ネットの中で、近所の仲間内で話題になった時、それは吐き気を催す本物の脅威となりました。


一般的には名誉棄損で訴えられるというのは社会人としてはとても大きな名誉棄損です。

しかも、相手が弁護士となると無条件で弁護士を信じる人達も多く、彼らの社会的地位は傷ついていきました。


しかし、これはまだ醜い惨劇の始まりに過ぎませんでした。


これらの話題がインターネットの掲示板で興味と恐怖と娯楽として大々的に広がり、数千、数万の人々が関心を持ったころ、この騒動のリーダー格だった某サイトの管理人が信じられないことを言い出しました。


それは、自分はこの件(弁護士の懲戒についての訴訟全般)に関係はなく、今後この問題には一切かかわらないこと、そして弁護士側には心からのお詫びと穏便な和解をお願いする、そのような内容でした。


この時掲示板の人達の判断は裁判に負けること、そして莫大な賠償金が取られる可能性を考慮して、そうなる前にとにかく平謝りするのが得策というものでした。

(ちなみにこの時、一人頭数百万とか、責任の重い者については数千万という数字もネットでは噂されていました)


これが決定打となりました。

もともと、指導者として、あるいは大将のように振舞っていた頼もしい仲間が急に敵前逃亡を始めたのです。

残された者たちは大将格の裏切りを最初は冗談ではと問い詰め、それが事実と認識すると裏切り者と罵倒を始めましたが、その時、元指導者たちは無言を貫きました。


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