第244話 誘致絶望編14 コモロウは元気です

コモロウは元気です。

彼女は体に問題を抱え、歩くときもめまいがするときが時々ありましたが、最近はとても明るくなりました。


もちろん彼女の持病は神経の欠損によるものであり、直すことは不可能でしたが、彼女にとってそれはすでに人生の中の一部となっており、すでに静かな心で受け入れている事柄でした。


先ほど述べた通り、彼女は今回起きた諸問題のいわば「先輩」でした。

いままでは、祭り之介がコモロウを励ますことが多かったのですが今度は彼女がメールで励ますようになったのです。


これは祭り之介からしてもとてもありがたいことでした。

かつて祭り之介は純粋な善意からコモロウに親身に接していました。

その中には同情や不器用な励ましもありましたが、今度は自分がそうなったことを瞬時に理解できたのです。


もちろん健常者の仲間たちからの励ましもありがたかったですが、「心に浸透する」という点で障碍者である彼女の言葉はより純粋に受け入れることが出来ました。

祭り之介は極わずかですが、心の中に余裕が出来ました。

そして、その余裕が彼の今を救うことになったのです。


フウイもまた、彼女に救われました。

正確には彼女の書いた「島津日新公いろは歌編」によって奮起することが出来ました。


例えば、吉田松陰のぶれない信念、最後まで未来を見据えあきらめず、世の中を恨まない爽やかな精神といった心構えを改めて認識することが出来ました。

それは、彼女の言葉の表現によって、より心に取り入れやすくなっていました。


他にも挙げれば沢山あって紹介しきれませんが、フウイは自分が今すべきことを見つけることが出来ました。

コモロウの元気な状態は祭り之介とフウイの心の支えとなりました。

そして今日も彼女はウイルスに影響されず元気に生活をし、小説を書いています。

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