第212話 記念企画その2 とある人間の健康状態
まず、自己紹介します。
私はとある人間の細胞の一つです。
ちなみに脂肪の一部でして、普段は邪魔者扱いされています。
最近私の本体にはいろいろな変化が起きました。
まず、私の仲間がとても増えたことです。
暇な私はどうしてなのか調べました。
すると、どうも運動不足が原因だということが分かりました。
でも、不思議です。
確かに以前より腕も足も弱く細くなりましたが、運動が出来ないほど弱ってはいないのです。
なぜなのか。
私は暇なので体の隅々を調べました。
すると、体のある場所に異常があることが分かりました。
それはなんと「目と耳」です。
私には脳に友だちがいて、彼曰く、目と耳に寄生虫が沢山いて、脳に間違った情報を送っている、それは幻覚だったり幻聴だったりするそうです。
初めのうちは目と耳の情報を信じて体全体が動いていたのですが、そうすると体が間違った方向に進み、ある時は頭を、ある時は手を、ある時は足をぶつけてしまいました。
こうして痛みを経験した人間は動くことに恐怖を覚え、委縮することになりました。
これが、私達脂肪が増えた原因だったのです。
さて、体のあちこち、例えば手や足や指といった末端の組織は痛みを伴い、腹を立てていました。
そして、脳に対して「早く正しい判断が出来るようにしてくれ」と悲鳴と怒号をぶつけました。
しかし、脳はなかなか末端の意見を聞きません。
何故か?その理由の一つめは脳細胞と目と耳の細胞は位置が近いために長い間の付き合いがあるため、むげには出来なかったことがあります。
いわゆる忖度というものです。
寄生虫たちの狡猾な点は脳細胞に近しい細胞たちには便宜を図り、良好な関係を築く努力を長年行ってきました。
おいしい汁を優先的に与えたりもしています。
それとは逆に細胞たちの弱点を見つけ、脳細胞が寄生虫に良からぬことをしようとした時、その細胞を破壊する準備も怠りなくしていました。
そのあたりは実に勤勉で、そのエネルギーと努力を健康増進に使ってもらったらどれだけ細胞が活性化して体が軽くなることかとぼやきたくなるくらいでした。
さて、こうしたことが長く続いてどうなったのか、次章に続きます。
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