第169話 王莽と現代のいろはの「る」

「王莽」(おうもう)今から約2000年前の中国の人物で一般的には悪人として評価されている人物です。

私の尊敬する光武帝の初めのころの敵でもあります。


とはいえ、光武帝はもちろん歴史上の人物たちが完全無欠ではないようにこの「王莽」から学べることもあります。

現代の少子高齢化社会において学べる彼の方法について考えてみたいと思います。


彼は当時政治権力を握っていた王一族の一人でしたが、彼の父が早くに亡くなったため、出世は遅い状態だったようです。

ある時、政権の実力者で高齢の伯父である王鳳が重病になりました、


王莽は枕元に駆けつけた、数ヶ月の間不眠不休で「蓬髪垢面」つまり髪はパサパサ、顔はアカまみれになって看病に当たったそうです。

恩にきた王鳳が成帝と元皇后に王莽のことを頼んでくれたので24歳で黄門郎に任命された。(黄門とは皇帝の勅命を伝達する官職)


これが出世の糸口になりました。

その後も清廉潔白な姿勢をとり続け、ついには宰相にまでなりました。


現代の日本では政治においても経済においても高齢者が重要な官職につき、決定権の多くを握っています。

これはある意味当たり前のことと言えます。


民主政治というのは多数決で決まり、今の日本は少子高齢化のため年長者の天下といっていい組織構造になっています。

若い人々からすると多かれ少なかれ不満もあるかもしれません。

しかし、この構造を変えるのは相当に骨の折れることです。


なので、ここは王莽の良いところに習い、年長者の信頼を得るように努力する方が将来に明るい見通しが立つと思いませんか。

年長者の実力者には大抵の物は揃っています。


お金、権力、コネクションなど、しかし彼らにも欲しいというか足りないものがあります。

一つは健康、一つは話し相手です。

もう一度島津日新斎いろは歌の「る」の内容を思いだしてみましょう。


年配者の話は、その内容を知っていても知らない体で聞くのがよい。

そうすれば年長者は気持ちよく話せるでしょうということでした。

こうした人の話を聞く姿勢というのは最初は抵抗感があるかもしれず、ストレスもたまるかもしれませんが、慣れてくるとすんなりと作法のように身に付きます。


将来の日本はどのみち多数の高齢者から少数の若者にバトンタッチすることが決まっているのですから、お互いが気持ちよくバトンを伝えられるようにした方が良いのではと思います。


読者の皆様はどのようにお感じになったでしょうか。

次の章はいろは歌の「を」とカタカナの比較的最近の歴史上の人物を紹介したいと思います。


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