第164話 サラディンといろはの「り」
サラディン、より正確な名はアラビア語のフルネームでアル・マリク・アン・ナジル・アブ・アル・ムサファ・サラーフ・アッディーン・ユースフ・ブン=アイユーブ
というそうです。
彼はファーティマ朝という、衰弱した王朝で宰相(総理大臣みたいなもの)をしていました。
彼の周辺は混乱していました。
王朝は弱り、イスラム教の勢力圏内では内紛が多発し、周りを見渡せばキリスト教徒が虎視眈々とエルサレムの支配権の確立を狙っていました。
イスラムの中では猜疑心が渦巻き、異教徒であるキリスト教の国々はアラブ人を宗教上の敵と憎み、皆殺しにすることもある殺伐とした時代でした。
その様な中、彼は様々な改革を行いました。
特に効果を上げたのは官僚機構の改革でした。
優秀な官僚に権限を与え、官僚の意見をよく聞き実際的な提案は実行しました。
一例として、税金の仕組みを簡潔にしたり、税の負担そのものも軽くしたそうです。
こうした改革によって、国の仕組みは官僚の力によって強められ、国民は負担が軽くなったことで喜び、サラディンを支持することとなりました。
こうしてイスラム圏内ではほぼ一つにまとまったサラディンでしたがエルサレムをめぐってキリスト教徒の国々と激戦を繰り広げることになります。
その後、キリスト強国との戦でサラディンは勝利し。多くの捕虜を獲得しました。
キリスト教国はイスラム教徒を虐殺しました。
彼はどう扱ったのでしょうか
彼はキリスト教国の非道な行為には習わず、身代金という形での解決を選びました。
現代の基準で考えると抵抗感もあるかもしれませんが、虐殺や処刑と比べればはるかに人道的です。
しかも、もし身代金が払えない場合でも後に釈放するという寛大さでした。
彼はキリスト側の不法や道理に欠けた行動とは異なり、理性的で寛大な行動をとることで歴史に名を残しました。
余談ですが、彼はイスラム教の英雄であると同時に後のキリスト教の地域でも寛大な人物として高く評価されています。
不法や理不尽な時代があっても、それは歴史の中では比較的短い期間であり、治安を回復することによる安定や喜びは長きにおよびます。
理も法も 立たない世の中だと感じていても、ヤケクソにならず理性的に行動できるようにこころを守ることができれば素晴らしいことだと私は思いました。
皆様はどのように感じたでしょうか。
次のいろは歌は「ぬ」です。
心の問題について、良心が盗まれることについて考えていきます。
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