第161話 曹操と郭嘉といろはの「ち」
実は身内話で恐縮なのですが、とある小説投稿サイトでこの「ゼロからはじめる島津大河誘致」で曹操を取り上げます、と宣伝したところ、郭嘉を主人公にした料理の小説を書いておられる方から郭嘉の登場を期待されてしまい(笑)急遽お話に組み込むことにしました。
紹介が遅れましたが、曹操とは中国の古代書「三国志」に登場する兵法の達人で能力重視の優れた英雄です。
当然能力はあります。
郭嘉はその曹操に仕えた軍師であり、とても卓越した先見性と的確な分析能力をもっていた人物です。
ただし、酒は飲む(ちなみに彼の官職名は軍師祭酒)博打は打つ、女性にはだらしないということで同僚の真面目風紀委員長役の陳羣という人物に度々「ちょっと男子~」と怒られていたとかいないとか。
特にこの二人(曹操と郭嘉)は孫子がめっぽう得意だったようで、曹操は孫子の脚注を書いていて、現代私たちが知る孫子は彼の脚注が元になっているとか。
郭嘉も「兵は神速を尊ぶ」という銀河英雄伝説ファンが喜びそうな言葉を後世に残しています。
郭嘉という人物はとにかく人や組織の弱点を見る能力と曹操のような優れた能力を持つ人物の強さを正確に測る能力に長けていました。
この二人はいつも同じ意見でだったわけではなかったようですが、曹操が弱気になる
と郭嘉は曹操の強みを、道、義、治、度、謀、徳、仁、明、文、武、という10の項目でそれぞれ説明して、彼の弱気な考えを改めさせました。
いろは歌のように曹操が自分の弱気を恥じたかどうかは分かりませんが、彼の知恵を重んじたのは間違いないでしょう。
さて、今まで知恵や能力の大切さを歴史の出来事から知ることが出来ましたが、曹操は郭嘉の知恵や能力をどのように測ったのでしょうか。
これは私たちにとっても人の能力を測る点で役に立つでしょう。
曹操は彼と天下国家についてとことん話し合い、その識見をもって彼の能力を理解したと記録されています。
今の時代だと政治的な話というのはもしかしたら難しいかもしれませんが、先を読む能力があるかないか、現状を理解してまとめ、それを他の人に理解できるように説明できるかどうかで判断することが出来るかもしれませんね。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、能力のある人というのと性格が良い人というのは必ずしも一致するわけではありません。
管仲も郭嘉も優れた能力はありましたが、性格的には問題がありました。
島津いろは歌も儒教の影響を受けていましたが、戦国時代らしい使える人材を大切にするという教えも併せ持っていたと考えられます。
私たちも知識だけではなく知恵や能力を伸ばし、ともすれば世知辛い世の中でよりよく生きていきたいですね。
次はいろは歌の「り」を紹介します。
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